私のコト~私のソープ嬢時代の赤裸々自叙伝~

私の自叙伝です。雄琴ソープ嬢だった過去をできるだけ赤裸々に書いてます。

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ミーティングで私が部屋持ちになったという発表があった後、杏理さんとあきらさんが突然店を辞めた。

私はその事実に結構なショックを受けた。

お店には理奈さんと私とななちゃんだけになってしまった。

 

富永さんが言うには杏理さんもあきらさんも指名がなかなか伸びないことに悩んでいたらしく、たまに2人を呼び出して話しをしていたらしい。

あきらさんはそんな時いつも「理奈ちゃんと有里ちゃんに良いお客さんばっかりつけてるんとちゃう?」と言っていたみたいだった。

杏理さんはいつもその横で小さく頷いていたと富永さんは言った。

私が文句を言ってから控室では何もいわなくなったものの、相変わらず2人で店の悪口や富永さんが贔屓しているという話しをトキでしていたそうだ。

 

「口ではいつも偉そうなこと言うたけど結果が出んくて格好つかなくなったんやろなぁ。」

 

富永さんは下を向いたままなんとも言えない表情でそう言った。

 

それから数日後。

新しい女性が2人入ってきた。

 

ねねさんと小雪さん。

 

ねねさんは3人の子持ちの女性で、どうしようもない旦那さんから逃げてきたと言った。

高島礼子にそっくりな美人さんだ。

明るく気風の良い彼女を私はすぐに好きになった。

歳は33歳。

彼女は「子供たちのために風俗誌にもバンバン出るし、指名もどんどんとっていかなあかんねん!あはは!後がないからなぁ!」と笑いながら明るく言った。

誰からも好かれるだろうその雰囲気と笑顔はいるだけで場が明るくなる、そんな女性だった。

 

もう一人の小雪さんは小柄で小悪魔的な雰囲気を醸し出していた。

なかなか打ち解けられなそうな感じの彼女は現在27歳。

大学生のころシャトークイーンでアルバイトをしていたことがあると言った。

その頃お客さんで来ていた男性と結婚し、ソープ嬢のアルバイトも辞め普通に働いていたと彼女は言った。

 

「でもSEXが下手やねん。それに女としてみてくれなくなってしまったんよ。だからもう一度ここにこよう思って。んふふ。ダンナには内緒やけどな。」

 

小雪さんはどこまでが本心でどこからが作っているキャラなのかわからない女性だった。

小雪さんは旦那さんには内緒だと言いながら、どんどん顔出しでの雑誌に載りたいと言った。

 

「旦那さんにバレたらどうするんですか?!」

 

私がそう聞くと小雪さんは小悪魔的な笑顔でこう答えた。

 

「んふふ。バレるのを待ってるのかもしれへんな。」

 

 

新しい女性が入ってきたと同時期に姉妹店の店長が変わったと噂を聞いた。

今までの店長をあまり知らなかったので特に驚きはしなかった。

でも富永さんの慌てようが尋常じゃなかったのを見て「何かが大きく動いたんだろうなぁ」と感じていた。

 

そんな時富永さんが私を個別に呼び出し、個人面談のようなことが行われた。

 

「有里。ちょっと相談があるんやけどな。」

 

富永さんが淡々と話し出す。

 

「はい。なんでしょう?」

 

なんとなくドキドキしながら私は聞いた。

 

「あのな、店のホームページ?ってやつを作ることになってな。わしにはそのホームページってのがよくわからんのやけど、有里にも出て欲しいいうてるんや。」

 

ホームページ…?

私が出る…?

 

「あー…そうなんですねぇ。え…と顔出しとかはできひんけど…それでええのかなぁ。」

 

「そうか。うーん…口元だけ隠してとかならええんか?どうも向こうの新しい店長がそういうことに詳しくて、店のホームページつくりを早速始めたいらしいんや。」

 

「そうなんですかぁ…。いや、別にいいんですけど…。でも私、3月で辞めちゃいますよ。それでもいいんですか?」

 

「まぁそれはとりあえず伏せておいてやな。…ところでホームページいうのはなんや?わしはよぉわからんのや。それを作ったらお客さんが増えるもんなんか?」

 

富永さんは戸惑った顔で私に聞いた。

私もホームページのことはあまりよく知らなかったけど、なんとなくはわかる。

 

「まぁ…増えるんちゃうかなぁ。結構他の店もちゃんと作り始めてるやろ?」

 

「そうなんやなぁ。時代は変わってきてるんやな…。」

 

「そうやねぇ。で?私はどうしたらええの?」

 

「あ、そうや。向こうの店長の高須ってやつが今日か明日にこっちにくるから会ってくれ。直接話し聞いてくれるか?」

 

私は「わかりました。」と答え、少し複雑な気分を味わった。

 

 

杏理さんとあきらさんが辞め、ねねさんと小雪さんが入店した。

そして姉妹店には新しい店長がやってきて、ホームページを作ると言い出している。

 

何か流れが大きく動いているような、大きな変化が起こっているような、そんな気がして私はなんとなく不安に駆られていた。

 

 

「有里ちゃん。ホームページの話し聞いた?」

 

控室に戻ると理奈さんが私に聞いた。

 

「うん。今聞いたで。理奈さんも出るんやろ?そりゃそうやな。顔出しは?どないするん?」

 

今まで理奈さんはどこの雑誌にも出たことがなく、ネットで雄琴全体の情報を乗せているページにも『殿堂入り最強人気泡姫』のコーナーに名前と後ろ姿しか載っていなかった。

 

「そうやなぁ。口元かくして撮るかなぁ。別に載らんでもええんやけどなぁ。」

 

理奈さんはあっけらかんと「どっちでもええんやけどなぁ」と言った。

それを聞いて私は「まぁ貴女はそうでしょ」と言った。

そして2人で「あはは」と笑った。

 

ねねさんと小雪さんは「自分のページを作って欲しい」と言っていて、小雪さんはパソコンに強いらしく「自分で作りたい!」とまで言っていて驚いた。

 

それから数時間後。

姉妹店の店長がシャトークイーンにやってきた。

1人のボーイさんを連れて。

 

「有里ー!ちょっとこっち来てくれー。」

 

富永さんが控室に私を呼びに来た。

 

「高須店長がきてるから、個室に案内して話ししてくれ。」

 

富永さんは複雑な表情をしながら私に言った。

 

「あ、はい。」

 

「有里さんですか?高須です。よろしくお願いします。」

 

富永さんの後ろからひょいと高須店長が顔を出した。

 

黒光りしている顔、胸元を少し開けた白いシャツ、シルバーのネックレスはクロムハーツ

薄い茶色のツイードのジャケットをサラッと羽織っている。

髪をジェルで綺麗にセットしていて、眉毛は綺麗に整えられていた。

歳は多分20代後半か30代前半。

ニコッと笑うと白い歯が綺麗に並んでいた。

 

…遊んでそうな男だな…

 

礼儀正しいけどちゃらちゃらとした雰囲気が漏れている。

そんな感じの男性だった。

 

「有里さん。ちょっとお話しいいですか?」

 

にこやかに私に聞く高須さん。

腰が低い。

次の瞬間。

 

「おい。あれ用意してあるか?」

 

後ろにいるボーイさんに聞く態度は私に対するそれとはまるで違っていて、高須という男がなんとなくわかる一場面だった。

 

「有里です。はじめまして。こちらへどうぞ。」

 

私は高須さんを2階の部屋に案内した。

 

「いやぁ~、有里さんにぜひホームページに出て欲しくてねぇ。若いし人気急上昇だし。ねぇ?」

 

階段を上がりながらにやけた顔で私に言う高須さん。

この言い方で気持ちよくなる女の子もたくさんいるんだろうなぁと感じる。

私は胡散臭く感じてるけど。

 

個室に入り高須さんは私をベッドに座らせた。

自分は床に胡坐をかいて座り、ボーイさんは立たせたままにした。

 

「でね、有里さん。あ、有里ちゃんって呼んでいいですか?」

 

白い歯を見せながら笑顔で話しを進める高須さん。

 

「あ…あぁ、はい。」

 

その笑顔があまりにも胡散臭くてちょっと引いてしまう。

 

「有里ちゃんは顔出しはNGなんですよね?ちょっと口元隠すとかはいいですか?せっかく綺麗な目ぇしてるんやから載せたほうがいいと思うんですよぉ。ねぇ?」

 

終始ニヤけた笑顔で話す。

全てが嘘臭い。

 

「あぁ…そうですねぇ…。まぁ…いいですけど…」

 

あまり乗り気ではないけど、どうせもうすぐいなくなるし、もうすぐ死んじゃうかもしれないんだからやってみてもいいかと思う。

 

「ほんと?!よかったぁ~。そうだ。有里ちゃんのページを作ろうかと思ってるんだけど、どんなタイトルがいい?『有里の部屋』とか?『ALI’Sルーム』とか?どうかな?」

 

話しがどんどん進んでいっている。

私はちょっと写真が載って、私のプロフィールが載るだけだと思っていた。

もうすぐいなくなる私が自分のページを持つなんていいんだろうか?

 

「日記とか書ける?自分の日記を書くコーナーとかも作るつもりなんだけどさ。泡姫の日常とかみんな見たいんだよ。ほんのちょっとしたことでいいからさ。携帯で書けるようにするから。あと掲示板つくるから、お客さんとやり取りとかもできるよ。」

 

私はネットに弱く、知識もなかったから高須さんの言っていることがあんまりわからなかった。

掲示板?

日記?

携帯で書く?

そして私のページってどういうこと?

 

「はぁ…え…と、よくわからないんですけど…」

 

頭が混乱している。

次々と自分の知らない話が展開していることに戸惑っている。

 

「あーそうだよねー!じゃあなんとなく作ってみるから、自分のページの名前だけ決めようか?有里ちゃんは何が好き?」

 

高須さんは笑顔で私に聞いた。

 

何が好き?

何が…?

 

「あ…お酒が好きです。」

 

ふいに口からそんな言葉が出た。

 

「あーお酒かぁ。俺も好き。今度飲みに行こうよ!そうか、お酒…お酒かぁ…」

 

高須さんは軽く「今度飲みに行こうよ!」と言い、私の返事なんかお構いなしに考え始めた。

 

「あ!これは?」

 

胸ポケットにしまってあったメモ帳を取り出して何かを書き出す。

 

「見て!これどう?」

 

メモ帳にはこう書いてあった。

 

『Ari‘s bar』

 

「これよくない?」

 

 

Ari‘s bar…

うわぁ…

なんかカッコイイかも…

 

そう思ってしまった。

 

「…かっこいいですねぇ。」

 

「そうでしょ?!これでいこうよ!とりあえず作ってみたいから有里ちゃんの写真を撮りたいんだ。今日これから撮ってもいい?」

 

え?!

今日?!

これから?!

 

戸惑っている私に高須さんは「とりあえずだから!また撮り直してもいいし!ね?」と強引に話しを進めた。

 

「あ…あぁ…はい。わかりました。」

 

高須さんのペースにいつの間にか巻き込まれた私は「はい」と返事をしていた。

 

「じゃ機材もってくるから!あと…1時間後ね!富永さんに言ってくるわ。じゃよろしくー!」

 

サッと立ち上がると高須さんはさっさとドアを開けて下に降りて行こうとした。

 

「あ!下着姿で撮るから!準備よろしくね!有里ちゃん。」

 

ニコッと笑って個室を出る高須さん。

「あ!よろしくお願いします!」と頭を下げて追いかけるボーイさん。

 

「あ…はい…よろしくおねがいし…ます」

 

個室に一人取り残された私は小さな声でもごもごとそう答えた。

 

 

この後私はあれよあれよという間に写真を撮られることになる。

 

 

 

つづく。

 

 

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