私のコト~私のソープ嬢時代の赤裸々自叙伝~

私の自叙伝です。雄琴ソープ嬢だった過去をできるだけ赤裸々に書いてます。

2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

68

「…俺…」 小林さんが頭を下げたまま小さな声で何か言おうとしている。 何を言われるか怖かったけど、小林さんが言葉を選んで話そうとしているのがわかるから、ちゃんと聞こうと思っていた。 「…有里ちゃ…いや…ほんとの名前、なんていうの?」 小林さんが顔を…

67

19時。 小林さんが家に来る約束をしていた時間。 まだ小林さんは来ていなかった。 お料理はもう全部作り終えていた。 ハンバーグが少し塩辛くなってしまったことがすごく悔やまれる。 「…大根おろしを多めにかけてもらえばなんとかなるかなぁ…」 何度もち…

66

「アリンコはいくつなんや?」 車に乗り込むとボーイの上田さんが聞いてきた。 上田さんはよれっとした白いワイシャツを着ていて全体的にだらしない印象を受けた。 歳は30代後半か40代前半。 髪は程よい長さではあるけれど特にセットしているでもなく、…

65

次の日。 昨日富永さんと結構飲んだ割にはスッキリと起きられた。 久々に楽しいお酒だったからかもしれない。 シャワーを浴び、コーヒーを飲んだ。 ボーっとしながらテレビをつける。 「…今日、何作ろうかなぁ…」 ボーっとした頭で今日のことを考える。 面接…

64

富永さんの口から出てくる話しは私の興味をそそった。 怖いと思いながらも、どうしようもない虚無感を感じながらも、私は引き込まれていった。 「広田のおっさんも必死やなぁ。」 富永さんはがぽつりと言った。 「え?なんですか?」 私は富永さんの言葉の意…

63

20時。 堅田駅の前で富永さんを待つ。 ぱらぱらと数人の人が行きかう堅田駅は少し淋しい雰囲気だ。 数台の列になって待っているタクシーの外で、何人かの運転手さんがタバコを吸いながら雑談をしている。 私は誰か雄琴村の人に会ってしまわないかとハラハ…

62

泣きながらお酒を飲んだ。 観るつもりのないテレビをつけ、わずかなアテをつまみながらお酒を飲んだ。 「花」の個室に置いておいたほとんど減っていないウイスキー。 それを氷を入れたコップになみなみと注いで飲む。 酔いがまわってくるとますます泣けてく…

61

「こっち座りやー。」 広田さんは私を控室に呼んだ。 何かの書類らしき紙を数枚持っている。 「よいしょっと。有里もそこ座って。」 ニコニコしながら私に座るように促す。 かなり機嫌がいい。 控室には個室の掃除を終えた明穂さんとたまきさんがいて、二人…

60

「花」で勤務する最後の日がやってきた。 昨日は麗さんも私も割とお客さんについていたので、前回みたいな麗さんの奇行をみることはなかった。 時折控室に降りると忍さんはゴロゴロしているか、ヘラヘラとおねえさん達としゃべっているかのどっちかだった。 …

59

中川さんは「早くベッドに行こうや。」と優しく私を誘った。 中川さんはほんとに女体が好きな方らしく、私のカラダを撫でまわし、たくさん愛撫をした。 仰向けに寝っ転がる中川さんの顔の上に跨るように言われ、シックスナインの体勢にさせられた。 口での愛…

58

「有里さん。有里さん。」 控室のスピーカーから呼び出しの声が聞こえる。 「はい。」 「ご指名です。スタンバイお願いします。」 この控室に居たくないと思っていた私は、この呼び出しを喜んだ。 忍さんは最初の一時間くらいはおどおどとした態度で引きつっ…

57

こみ上げる怒りをガマンすることができなかった。 誰に対する怒りなのかもよくわからなくなっていた。 お金を盗んだかもしれない忍さんに? あんな姿になるまで「アレ」をやっているであろう麗さんに? 店の利益や自分の個人的な好みで女の子を利用している…

56

「あのさ…」 「うん?なに?」 「私、一人暮らし始めたばっかりやねんけどさ…」 私は自分の口から出る言葉を制御できないでいた。 この後の言葉は言うべきじゃないと思いながらも自分の口から出る言葉を止められなかった。 「…今度家に遊びに来ない?」 言っ…

55

次の日。 麗さんはお店に来なかった。 お店のおねえさん達は口々に「やっぱりなぁ。」「そらそうやろ。」と言っていた。 私は… 麗さんが来ていないことにショックを受けていた。 もし来ていいてもショックを受けていたんだと思うけど。 数日が過ぎ、だんだん…

54

その日のお店はとことん暇だった。 結局麗さんは指名のお客さんに3本つき、私は指名のお客さんに2本ついた。 フリーのお客さんはほとんど来ていない状況だった。 「あー、今日お茶挽いてしまったわ~。」 たまきさんが小さな声でブツブツと言っていた。 (…

53

「みんな宜しくたのむなー!」 広田さんは大きな元気な声で言いながら控室から出て行った。 麗さんはその後を追って「個室の準備してきまーす」と言いながら出て行った。 「…ガリガリやな…」 明穂さんが小さな声で言った。 「…そうやろ?…」 たまきさんが答…

52

仕事は順調…なんだろうと思う。 嫌なお客さんに当たることもなく(少し嫌、くらいはあるけど。)、なんとなく指名も増え始めていた。 相変わらず仕事が始まる前の緊張感とお客さんにつく前の緊張感が吐き気がするほどだったけど、それにも少しずつ慣れてきた…

51

「…忍さんがどうかしたんですか?」 広田さんが「…うーん」と言いながら、次の言葉をなかなか口にしない。 私はこわごわと訊ねた。 「…うーん…もしかしたらやねんけどな…」 「…はい」 広田さんが私のそばにグッと近づいて、ますます小声でこう言った。 「…お…

次の日。 早朝から起き出した私は買っておいたインスタントコーヒーを淹れた。 気付けば昨日からほとんど食べ物を口にしていない。 「…お腹空いたなぁ…」 荷物がそこかしこに置いたままの部屋。 カーテンがついていない窓から入ってくる太陽の光が眩しかった…

猿渡さんの運転で光営マンションに到着した。 「…ありがとうございました。遅くまですいません。」 私は「これが礼儀なんだ」と自分に言い聞かせながら二人にお礼を言った。 「…いや…他にもなにかあれば言ってください。手伝います。」 猿渡さんが小さな声で…

広田さんは驚きながらも田之倉さんと猿渡さんを呼んできたくれた。 「有里ぃー。なんだぁ~?突然やないかぁー。」 田之倉さんがあきれた様子で言う。 「なんや?どないしたんや?」 広田さんが心配そうに聞く。 猿渡さんはただ黙ってそこにいた。 「いや…な…

「…あはは…まぁしゃーないわ。有里ちゃん、また連絡するわなー。じゃ。」 美紀さんはいそいそと帰ろうとする。 引きつった笑顔。 手には店で使っていた黒い低いヒールの靴を持っていた。 「ちょ…ちょっと待ってくださいよ!」 私は裏口から出ていこうとする…