2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧
「…うーん…」 私は腕組みをして考えている富永さんの横で正座をして待っていた。 富永さんの口からどんな言葉がでてくるか。 純さんと二人っきりの控室にはもどりたくない。 「…検査の結果もシロやったし、お客さんと何かトラブルがあったわけじゃないし… 急…
8月が終わろうとしていた。 私は12日に誕生日を迎えて22歳になった。 さつきさんは急にポコっと休むこともあったりするけど、マイペース(のようにどうしても見えてしまう)に仕事をこなしていた。 そして私の思った通り指名の数を順調にのばしていた。 私は…
「まぁくーん!お酒まだぁ~?」 まどかさんは身体をぐねぐねに揺すりながらお酒を催促する。 「今持ってくよー!」 カウンターの中で大きな声で答えるまぁくん。 「んっふふふ~。お酒飲もうねぇ~。ねぇ~。」 まどかさんは隣の男性に甘えた声でそう言いな…
トキの猥雑な雰囲気になんとなく慣れてきていた。 というか、程よく酔いがまわってきたんだと思う。 「有里ちゃんはなんで雄琴に来たん?若いし、しかも東京出身なんやろ? なにがあったん?」 まぁくんは私たちの前でいろんな話しを面白ろおかしく話し、そ…
「理奈さん!久しぶりすぎますよぉー!」 理奈さんが店内に入ろうとしていると、いたるところからそんな声が聞こえてきた。 「そうやんなぁ。久しぶりやなぁ。あ、ここ?ここ座ってええの?」 理奈さんが店に足を踏み入れ、スタッフの誰かに聞いている。 私…
個室の掃除が終わり、階段を降りる。 「有里。ちょっとええか?」 階段の下にいた富永さんが声をかけてきた。 「え?はい。」 富永さんは私に近づいてきて小声で話した。 「奈々…どうやった?」 きっとフロントでも泣いたんだろう。 富永さんがちょっと心配…
その日のシャトークイーンはかなりのんびりしていた。 人気者の理奈さんでさえ指名の2本だけの稼働だった。 研修を終えた奈々さんはかなり疲れた顔をして帰ってきた。 そしてフリーのお客さんに一本入って帰って来た時には少し泣きそうな顔をしていた。 奈…
次の日。 朦朧とする頭を抱えながら小林さんからのTELに出た。 「もしもし?ゆきえ?おはよー!」 相変わらず元気だ。 「うん。おはよう。」 「ゆきえ?元気ない?どうしたん?」 小林さんは私の声を聞き分ける。 少しでも元気がない様子だとすぐにわかって…
中川さんの接客を終えて控室に戻るとさつきさんはいなく、杏理さんがテレビを観ながら一人で座っていた。 「おあがりぃー。」 杏理さんがテレビから目線をチラッと外し、私の方を見て挨拶をした。 「お疲れさまです。さつきさんは?お客さんですか?」 私が…
「このあいだはありがとうございました。早速買っていただいたグラスでビール飲んでますよぉ。」 私はお風呂の準備をしながらなるべく明るくそう言った。 気まずさを隠すためだ。 「そうか?それならよかった。」 中川さんは相変わらずのニヤニヤにこにこ顔…
私はしばらくさつきさんを観察していた。 さつきさんの動きがあまりにもスローで、しかもおどおどとしているのが気になったからだ。 猫背の姿勢でテレビをボーっと観ていたかと思うと、急に「あ…あの…」とおどおどとしながら私に話しかけてくる。 そしてその…
一人目のお客さんを無事に帰し控室に戻ると誰もいない状態だった。 杏理さんはお客さんについている。 さっき個室の前を通った時にハスキーな喘ぎ声が聞こえた。 何度か杏理さんの喘ぎ声は聞いているけど、聞くたびに「エロいなぁ」と思っていた。 今日もエ…
火曜日の夜、小林さんは仕事が終わったら急いで私の部屋に来る。 そして水曜日一日一緒にいて、木曜日の朝私の部屋から出勤する。 なんとなくそれが当たり前になりつつあった。 木曜日の朝。 小林さんがポツリとこう言った。 「今日もここに帰ってきたいなぁ…
「有里ちゃん。今日のミーティングどうやった?」 理奈さんが控室の座椅子に座ったと同時に私に聞いてきた。 「えー…、そうですねぇ……楽しかったです!」 私は3人でふざけられたことが嬉しかっただけだ。 ミーティングの内容は別に楽しくもなんともない。 …
それから数日が過ぎ、8月の最初の火曜日。 シャトークイーンに入ってから初めてのミーティングがあった。 まどかさんはまだお店に来てなかった。 そして新しい子もまだ入ってきてなかった。 火曜日は私の休日だけれど月に一回のことだし、特にやることもな…
シャトークイーンに入って1ヵ月が経とうとしていた。 特に大きないざこざもなく、嫌なお客さんに当たることもなく、私は比較的安定した1ヵ月間を過ごすことが出来た。 もちろん毎回お客さんにつく前には吐きたくなるほどの緊張はするのだけれど。 小林さん…
小林さんと火曜日の夜から水曜日まで一緒に過ごした。 朝、私が淹れたコーヒーを一緒に飲み、お昼前には私が作ったゴハンを一緒に食べた。 夜は一緒にタクシーで行きたかった近所にある割烹に行った。 小林さんは終始優しく、そして私を抱こうとはしなかった…
「有里ちゃん。ほんまにまっすぐ帰るか?」 中川さんが前をまっすぐ見ながらそう口を開いた。 「え?」 ふと前方を見ると『琵琶湖ロイヤルホテル』と書かれた看板が見えた。 行きの車中、(へーこんなところに割と大き目なホテルがあるんだー)と思いながら…
シャトークイーンでの一週間はあっという間に過ぎた。 理奈さん達と一緒に飲んだ次の日の日曜日はなかなかに忙しく、月曜日はうって変わってかなりのんびりな一日だった。 まどかさんは富永さんがフロントに座ることを条件に渋々お店に出ていた。 杏理さんは…
富永さんは店長さんが出したおしぼりでごしごしと顔を拭いた。 そして「いや~ほんまに今日は参った。」と言った。 ふく田のカウンター。 端の定位置に富永さん、隣に私、そして理奈さんの順番で座っていた。 理奈さんが椅子に横向きに座ったまま「ほんまお…
理奈さんは終始笑顔のまま、ずっと同じフラットな軽いトーンで話した。 そのフラットな軽いトーンのまま、ぽろっとこんなことを言った。 「まぁ、ソープが私の天職のような気がしてるんやぁ。」 理奈さんがあまりにも軽いトーンでその言葉を言ったので、あや…
ちょっと泣きながらの個室掃除を終え、着替えて下に降りるとまどかさんと富永さんが立ち話をしていた。 まどかさんはさっきよりももっと泣いていた。 「…あんな言い方ないやろ?私が悪いんやないやろ?そうやろ?なぁ富さん。」 まどかさんは気持ちがおさま…
中川のおじいちゃんとの約束に戸惑いながらも、私はその日のお仕事を終えた。 さすがに土曜日だけあってなかなか忙しかった。 指名が2本、フリーが3本。 5本入るとカラダはクタクタだった。 夜11時30分。 控室で休んでいると理奈さんがお客さんからあ…
その後、私はフリーのお客さんに入った。 そのフリーのお客さんとは可もなく不可もなくのような結果だったけど、さっきのおじさんとの時間が私をちょっとだけ変化させていた。 なんというか… 少しだけ肩の力が抜けたような、ほんの少しだけ気負いが減ったよ…
私は丁寧にコトを進めた。 丁寧にカラダを洗い、丁寧にシャワーで流す。 おじさんとはもうすでにビールの時点でいい感じになっていたので、なんとなくリラックスしてできた。 カラダを洗ってる時も「んふふ」と言い合いながら、おじさんも私のカラダを嬉しそ…