私のコト~私のソープ嬢時代の赤裸々自叙伝~

私の自叙伝です。雄琴ソープ嬢だった過去をできるだけ赤裸々に書いてます。

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お風呂を入れ終え、私は松ちゃんの服を脱がそうとした。

 

「ちょ、ええわ!自分で脱げるわ!」

 

松ちゃんは私に服を脱がされるのを拒否した。

 

「えー?!脱がさなくていいんですかぁ?やったぁー!」

 

「子供やないんやから自分で脱げるわ!アホか!」

 

松ちゃんはかなりの照れ屋さんだということがだんだんわかってきた。

 

2人で淡々と服を脱ぎ、お風呂場へ行く。

 

「お前、おっぱい小さいな。」

 

松ちゃんはぶっきらぼうに私にそう言った。

 

「うわ!ひどい!!人が気にしていることを!!」

 

私は松ちゃんのカラダを洗いながら文句を言った。

 

「ほんまのことやねんからしゃーないやろ。ふっ。気にしてんのか?」

 

唇の端をゆがませて笑う松ちゃん。

 

「そりゃ気にしますよー!あぁ…おっぱい大きく生まれたかったぁ…」

 

泡だらけで落胆する私。

 

「別にええやんか。ちょうどええと思うで。わしは。お前、可愛いしな。」

 

おりょ?

ん?

 

今なんとおっしゃいましたか?

 

「え?今なんて言いました?え?」

 

照れくさそうに顔をそむける松ちゃんに「え?なんて?」と迫る私。

 

「うっさいなー!もうええやろ!」

 

おー…

これはこれは…

 

なんだか良い風向きになってきたぞ。

 

「んふふ。えーと…マットは?します?」

 

シャワーで泡を流しながら聞いた。

 

「ん?マットか…そうやな…ええわ。マットはやらんでええわ。」

 

松ちゃんはしばらく考えてマットを断った。

 

「マット、嫌いですか?」

 

「んー…誰がやってもさほど変わらんしな。別にええわ。」

 

ソープ百戦錬磨の松ちゃんがそんなことを言った。

 

「そうなん?!マットって誰がやってもあんまり変わらんの?!ほんま?」

 

松ちゃんをお風呂に促し、私も一緒に入りながら聞いた。

 

「そうやで。今までで…1回か2回やなぁ。マットで上手い!と思ったんわ。」

 

松ちゃんは今まで1千万円以上ソープランドに使っている人だ。

その人が1回か2回しかマットで感動したことがないと言っている。

 

「そうなんやぁ…。その上手い!って人、どんな感じなん?」

 

浴槽で向かい合わせになりながら、私は質問を続ける。

 

「お前質問多いなぁ!なんでそんなこと知りたいんや?」

 

また吐き捨てるような口調で松ちゃんは言う。

 

「ええ?!普通知りたいやろー!マットも上手くなりたいし。どんな人が感動させるのか知りたいんやもん。それが普通やろー?!」

 

私は本音をずっと話している。

どうせこの人は指名してくれないんだから取り繕う必要なんてないと思っている。

そしてこの面白い人の話しを聞けるのはこの時間だけなんだから、思う存分質問してやろうと考えていた。

 

「お前なぁ…。他のソープ嬢の話しをそんなにベラベラしゃべったら気分悪いことないか?悪い話しならともかく、褒めるような話ししたら気分悪くするやろ?ちゃうか?」

 

松ちゃんは態度こそ悪いけど、こういう気遣いをする人だった。

 

「へー…。案外優しいんですねぇ。んふふ。別に大丈夫です。というか、むしろ聞きたい!知りたいもん。もっとお客さんに満足してもらいたいし。今の私じゃだめなんよぉ。なんかもっとこう…自信をもってお客さんと接したいんよぉ。」

 

心からの思いだった。

もっと堂々とお客さんを出迎えられるようになりたい。

私のこんな容姿でも「きっと満足させます!」と堂々と言える何かが欲しかった。

 

「案外ってなんやねん!わしは優しいで。ほんまに。お前…色気で売る気ないやろ?

わしはお前とSEXする言うてんねんで。お風呂入りながらなんでこんな話ししてるんや?アホか。」

 

あー…

 

そういえば松ちゃんは未だに私のカラダに触れていない。

カラダを洗う時に私がおっぱいに手を持っていっただけだ。

 

「あはは…あー…そうですよねぇ…。まぁいいやないですか!それで?マットの話し!!」

 

私はそう言われても気にせず質問を続けた。

 

「ぶはははは!お前アホやな!」

 

松ちゃん初めての爆笑。

なんで爆笑してるのか全くわからなかったけど。

 

「ぶははは!まぁええわ。マットな。そうやなぁ…。とにかくどうやって動いてるのかわからんくらい全てがスムーズやったなぁ。でもちゃんと丁寧で、気持ちいいポイントは絶対外さへんのや。緩急が上手いいうんかなぁ…。こっちに隙を与えんくらいずっと気持ちええのが続くって感じやなぁ。」

 

松ちゃんは一生懸命思い出しながら言葉を選んで私に伝えようとしてくれた。

 

緩急…

丁寧…

気持ちいいポイントを外さない…

隙を与えない…

 

うー…

 

「…難しいことばっかりやなぁ。私もそんなことばっかり考えてやってるけど…何が違うんやろなぁ…」

 

お風呂に入りながら自分の世界に埋没していく私。

 

ほんとに難しい。

 

「おい?!有里!わしのこと忘れてないかー?!」

 

松ちゃんが向かい側で私に声をかける。

 

「あ!ごめんなさい!あははは!真剣に考えすぎたわ。ごめんごめん!あははは!」

 

「おっまえ…ほんましょーもないやっちゃなー。もう出るで。」

 

「あ、はーい!」

 

どっちがお客さんだかわからない状態になっていた。

 

「ほら!タオル!お前は自分のカラダをちゃんと拭けよ。わしは自分で拭くからええわ。」

 

「え?あ、はい。ありがとう。」

 

「ちゃんと拭けたか?お前はしゃーないやっちゃなぁ。ここがまだ濡れてんで。ちゃんと拭けやぁ。」

 

「あー…ありがとう。えへへ。」

 

松ちゃんは「しゃーないなぁ」と言いながら私の首筋を優しくタオルで拭いてくれた。

 

「こっちきて。」

 

ベッドに腰かけ、隣をトントンと叩く松ちゃん。

 

「はーい。」

 

素直に横に座る私。

 

「抱くで。」

 

ぶっきらぼうに言いながら私の肩を抱く松ちゃん。

 

「うん。」

 

上目づかいで顔を見上げる私。

 

「お前…そんな顔すんなや。」

 

「そんな顔ってどんな顔やねん。」

 

「…うっさいわ。」

 

私と松ちゃんはキスをしてベッドに倒れこんだ。

 

松ちゃんとのSEXは意外にも優しく気持ちいいものだった。

体勢を変える時も言い方はぶっきらぼうながら、気遣いの言葉を忘れない。

 

「こっち。こっちこいや。…大丈夫か?これ辛ないか?」

「足あげろや。…痛ないか?やめよか?」

 

そんな感じ。

 

結局フィニッシュは正常位で、松ちゃんは私を優しく抱きしめながら射精した。

 

「はぁー…有里。おつかれさん。」

 

ゴロンと寝っ転がりながら松ちゃんが私の肩をポンポンと叩いた。

 

「あはは。お疲れさまです。気持ちよかったよ。」

 

私は松ちゃんの腕を自分の頭の下に敷いて腕枕の体勢になり、そう言った。

 

「はっ!嘘言わんでええわ。気持ちええわけないやろが。アホやな。」

 

大体のお客さんは私がこう言うと喜んだ。

でもこの人は違うんだ。

いつもと違う反応が新鮮だった。

 

「ほんまやって。ほんまに気持ちよかったで。」

 

めっちゃ気持ちよくはなかったけど、いつもよりは格段に気持ちよかったのは事実。

私は少しカラダを起こして松ちゃんの目を見ながらそう言った。

 

 

「はっ!好きでもないやつとSEXして気持ちいいはずないやろが。アホか。」

 

 

その言い方に松ちゃんの寂しさが見えたような気がした。

 

この人…好きになってもらいたいんだ。

愛し合う人が欲しいんだ。

 

「…そのトライアングルの子ぉのこと、本気で好きなん?」

 

私は起き上がって松ちゃんの目を見て真剣に聞いた。

 

きっとその子のことが好きなんだ。

その子と真剣に付き合いたいと思ってるんじゃないかと思った。

 

「は?!…そんなこと言えん。本気で好きになったってしゃーないやろ。こういう仕事してるんやからなんか理由があるんやろうし。わしにだってどうにもできひん。そうやろ?」

 

松ちゃんは私の質問に全く答えていない。

 

「お前だってなんか理由があるんやろ?ここにいるってことは。」

 

松ちゃんも起き上がり、ベッドに腰かけた。

 

「まぁそうやで。で?そんなに好きなん?その子のこと。」

 

私は引き下がらなかった。

松ちゃんの口からちゃんと聞きたいと思った。

 

その子が好きなら好きだと言え!と何故か思っていた。

 

「お前…うっさい奴やなぁー。もしわしがお前のこと好きになってしもうたって言うたらどないする?!」

 

松ちゃんは顔をそむけたまま言葉を吐き捨てた。

 

「え?!えーと…そうやなぁ…まだそんなに知らないしなぁ…」

 

急な質問で今度は私が言い淀む。

 

「ほら!そうなるやろがー!お前だって困ってるやないか!」

 

確かにそうだな…

 

「うーん…まぁでも私とは今日会ったばっかりやし、その子とはもう何度も会ってるのやろ?そしたら私とはまた違う返事が返って来るでしょー!」

 

私は松ちゃんの肩をペシペシと叩きながら励ますようにそう言った。

 

「…もうその子の話しはええ。お前…わしが何度もここに来たら嫌やか?」

 

は?

あれ?

なんか話しがよくわからないぞ…

 

「えっと…どういうことかな?来てくれるのはもちろん嬉しいで。」

 

そりゃ指名になるし、お金にもなるんだから嬉しいでしょ。

 

「ほんまか?わしが来たら嬉しいか?」

 

うん。

だから、指名にもなるしお金にもなるからね。

 

「うん。嬉しいで。そりゃそうやろ。」

 

そりゃそうでしょ。

 

「迷惑やないか?」

 

「迷惑なわけないやろー!来てくれたら嬉しいでー!」

 

「…そうか。」

 

松ちゃんは黙ってしばらく下を向いていた。

何かを考えている様子だった。

 

 

「どないしたん?ビール飲む?」

 

その様子がなんだか変で心配になる。

 

「いや…。有里。わし、また来るわ。お前のとこにまた来るわ。」

 

松ちゃんが何かを決心したような顔で私に向かってそう言った。

 

「へ?えーと…そう…なんやぁ。えと…ありがとう。嬉しいで。」

 

その真剣さにちょっと驚いたけど、これで指名が1本増えることに内心喜んでいた。

この人にはかなり素をさらけ出したから来てくれても楽そうだし。

 

「うん…。何回来たらお前がわしを好きになってくれるかなぁ。」

 

ポツリとこぼした言葉に驚く。

 

「へ?!何?!どういうこと?!」

 

「…うっさいな。聞き流せや。アホか。水割り作ってくれ。」

 

 

なんだこの展開は…

どういうことだ…?

 

 

「またすぐ来るわ。な。」

 

お見送りの時、松ちゃんがそっぽを向いたまま小さな声で言った。

 

「あー…うん。待っとるわ。またね。」

 

私はその松ちゃんの雰囲気に多少の不安を感じながら答えた。

 

「おう。」

 

後ろを向きながら手を挙げて上がり部屋に消える松ちゃん。

 

「…大丈夫かなぁ…」

 

その姿を見て首をかしげて呟く。

 

 

私はなんだか不安になっていた。

松ちゃんが私を気に入ってくれたことは嬉しかったけど、それ以上に「大丈夫かなぁ…」の気持ちが強く働いていた。

 

 

 

数日後、私のその不安は的中することになる。

 

 

 

つづく。

 

 

 

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152 - 私のコト

 

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