「あ、あはは。はい。」
顔を上げるとその若目のお客さんが照れ笑いを浮かべていた。
程よい長さの茶髪のストレートヘア、白いTシャツにチェックの半そでシャツをはおり、下はジーパン。
中肉中背のその男性は見るからに明るそうな人だった。
目はパッチリとしていてカッコイイといえなくもない…という感じの顔立ちだ。
「有里…ちゃん?ていうの?」
「はい。有里です。」
ニッコリ笑って答える。
「へー!はは…変わった名前だね。」
照れくさそうに笑いながら階段を上る。
この人は私を気に行ってくれるだろうか?
「よろしくお願いします。」
三つ指をついて挨拶をする。
「あ!ははは…はい。よろしくぅ~。」
男性はベッドに腰かけたままペコっと頭を下げた。
「お飲み物どうしますか?」
「え?あー…じゃあコーラで。」
「はい。ちょっと待ってくださいね。」
私は終始笑顔で対応する。
「コーラどうぞ。今日はかなり早くいらっしゃったんですねぇ。」
ニコッと笑いながら話をふる。
この一言めの返事でだいたいお客さんの様子をつかむ。
「あーあははは…そうやねん。急がせてしまったやろ?ごめんなぁ。」
男性は両手を合わせ、顔の前で拝むような仕草をした。
うん。
この人はいい人だ。
もしかしたら良い時間にできるかもしれない。
そしてもしかしたら指名につなげられるかもしれない。
男性の対応と雰囲気でちょっとだけ期待をする私がいた。
「いえいえ、大丈夫ですよー。でもどうしてこんなに早くいらしたんですか?
常連さんだって聞きましたけど。」
「え?常連…っていうか…。あはは…なんか雄琴の前通ったら来たくなってしまってなぁ。いつもなら予約するんやけどフラ~っとな。あはは…」
男性はずっと照れ笑いをしている。
その態度がなんとなく気になる。
「そうやったんですかぁ。なんか淋しくなっちゃいましたか?」
「うーん…そやなぁ。そんなとこやな。あはは…」
私はそんな会話をしつつも、頭の中では椅子洗いの手順や姿勢のことを考えていた。
マットでの花時計の挑戦をどうするか?問題や、テディベア座りがすんなりとできるか問題の件も頭の中で考えていた。
「お風呂入りましょうか?」
イチャイチャする感じでもなく、あっさりとお風呂場に移動する。
洗ってる最中もそんなに私のカラダに触ってこない。
照れて…るの…かな?
それとも…私のカラダじゃ触る気になれない…のかな?
抱き着きながら背中を洗っても男性はピッと手を下に降ろしたままだ。
おちんちんは勃っている。
うーん…
私はそんなことを気にしながらも淡々とことを進めた。
椅子洗いはまぁまぁな出来だった…んじゃないかと思う。
男性も「お?!椅子洗いなんてすんの?久しぶりやなぁ!」と感激してくれた。
でも…特に興奮する様子もなく、やっぱり淡々としていた。
マットは…これも昨日に比べたらまぁまぁの出来だったんじゃないかと思う。
ただ、ちょっと勇気がなくて「花時計」はやらなかったけど。
マットで挿入し、腰を上下に動かす。
男性は「おう!おお!…」とやっと興奮した様子を見せて、私のおっぱいを下から触っていた。
「あぁ…このまま…あぁ…イキます…か?」
マットでの女性上位でイクのか?止めてベッドでするのか?なるべく聞くようにしている。
「おぉ…このままイキたい…おう!」
男性はマットでイクことを希望した。
私はその言葉を聞いて、腰の動きを激しくし始めた。
女性上位は疲れる。
あまり長くやっていると気持ちいいなんて感じられない。
太ももがプルプルする。
でもお客さんに満足してもらいたい一心で動き続けるのだ。
「あうぅ…有里ちゃん…イク…」
「はい…あぁ!あー!」
男性がイキそうになった時にこちらも喘ぎ声を大きくすると、大抵の男性は気持ちよくイってくれる。
私はもう限界に近い太ももの疲労に耐えながらお客さんの様子を見て動く。
「イク!うう…ううーー!」
男性はカラダを少しのけ反らせてイッた。
膣の中でおちんちんがドクッドクッと動いている。
「ふぅ…お疲れさまでした。」
私はおちんちんを挿れたままそう言うと、上半身を男性の上に重ねる様にしてかぶさりほっぺにキスをした。
「あ…あはは…有里ちゃん、気持ちよかったよ。ありがとう。」
男性は照れ笑いのまま私にお礼を言った。
お風呂から上がり、お茶で乾杯をする。
ここまではなんとなく良い雰囲気な…ような気がする。
椅子洗いやマットで私のカラダにあまり触って来なかったのはただの「そういう人だ」という括りでいいのかな…?と思い始める。
話しの受け答えからも私のことを気に入ってないような感じは見受けられない。
さて。
どうやったらこの後指名してくれるまでに持っていけるか、だな。
このままじゃインパクトに欠ける。
会話…か、この後のベッドでの行為で…か…
どうだろうか…
そんなことをうっすらと考えていた時、男性の口からこんな言葉を聞く。
「俺さ、いつも理奈さんを指名してるんだ。ははは…」
理奈さんっ!!
そうなのか!!
そして「いつも」?!
男性のその言葉を聞いてちょっとガックリしてしまった。
ナンバー1の理奈さんをいつも指名してくれてるこの男性が、私を指名するようになるわけがない。
さっきの椅子洗いでやマットでの態度も、その言葉を聞けばなんとなく納得する。
「今日、ほんまは理奈さんに会いに来たんや。突然会いたくなってなぁ。でも予約でいっぱいでな。でも来てしまったからなぁ…ははは…。だからたまにはフリーで入るかなーと思って入ったんや。」
理奈さんに会いたくなって…
私はその言葉に嫉妬した。
すごく嫌な気分になった。
でもそんな気持ちは隠して話を聞く。
「あーそうだったんですかー?それは残念でしたねぇ…。せっかく会いに来たのに…。」
「あ、ごめん。有里ちゃんでよかったと思ってるんやで。でもな…」
男性は私を気づかい「有里ちゃんでよかった」と言った。
でもこんなのただの社交辞令だ。
そして顔を曇らせて「でもな…」と言う。
「…なんか浮気してしまったような心境や…。ははは…」
ガーン!!
私はその言葉を聞いて大ショックを受けた。
お客さんからそんな言葉を聞いたのが初めてだったからだ。
お客さんにそんな言葉を言わせてしまう理奈さん。
一体どんな接客をすればそんな言葉を言われるようになるんだろう?
私はショックで一瞬頭の中が真っ白になった。
「えー…そんな気分になってしまったんですねぇ。そっかぁ…」
なんとか笑顔で話しをする。
でも…
もうなんだか上の空だ。
「自分でもびっくりしたわ。理奈さんを知る前やったら間違いなく有里ちゃんを指名してるんやけどなぁ。」
ガーン…
その言葉、すごく余計。
「えーほんまですかぁ?」
ちくしょう。
悔しい。
「ほんまやって!有里ちゃん、いい子やもんなぁ。」
なんだよ。
理奈さんは別格なんでしょ?
「私まだ入ったばかりでまだ理奈さんにお会いしてないんです。どんな方なんですか?」
聞きたくないけど聞きたい。
いや、すごく聞きたい。
「え?理奈さん?あんな、すっごいスタイルがいいんや。まさにボンッキュッボンッっていう感じなんや。それになぁ、性格めっちゃいいんよ。それでな…」
ちょっとちょっと!
なに意気揚々と嬉しそうに話しちゃってんの?!
男性は理奈さんのことをほんとに嬉しそうに話した。
私の顔が引きつってるなんて気付くこともなく。
男性の話を聞く限り、理奈さんは相当スタイルがいいらしい。
そしてすごく性格がいいと何度も言っていた。
スタイルが良くて性格がいい…
うーん…
これじゃ漠然としていてわからない。
これほどまでに言わせるには“何か”があるはずだ。
「理奈さんに会ったらよろしく言っといてな。」
男性がニコニコと笑いながら私に言った。
「はい。この後初めてお会いするので…」
私は引きつった笑顔で返事をしていると、男性はその言葉を遮ってこんなことを言った。
「いやいやいや!やっぱりよろしく言わんでええわ!有里ちゃんに入ったことバレたくないわ…」
ガーン…
なんやそれ!!
「お客様お上がりでーす!」
大きな声で言いながら階段を降りる。
下まで一緒に降りるとボーイさんが上がり部屋に誘導をする。
「ありがとうございました。」と男性に小声で言う。
すると男性が「有里ちゃん。ありがとう。ほんま、よかったで。」と言った。
う…。
全然嬉しくなかった。
私はこの後会うことになる理奈さんのことが気になって気になって仕方がなかった。
理奈さんがナンバー1になる理由が知りたい。
どんなすごい技を持っているんだろう。
どんな素晴らしい接客をするんだろう。
やっぱり厳しい人なのかな。
怖くて話せないくらいの人だったらやだなぁ。
私の頭の中は理奈さんのことでいっぱいになっていた。
つづく。
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