私のコト~私のソープ嬢時代の赤裸々自叙伝~

私の自叙伝です。雄琴ソープ嬢だった過去をできるだけ赤裸々に書いてます。

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「じゃこのままいくでー。」

 

おばあさんは淡々とした様子でひんやりとした器具を私の膣内に入れてギリギリと動かす。

 

痛い…

鈍い痛みがじわじわと私を侵す。

 

ギリギリと器具を動かしては出し、そしてまた挿れる。

 

だんだんと鈍い痛みが強くなる。

 

ギリギリギリ…

 

4回目には「うぅ…」と声を出してしまう程の痛みになる。

 

「痛いか?まだ平気やろ?」

 

おばあさんが軽く言う。

 

「あ…はい…まだ平気です。」

 

ほんとは怖い。そして痛い。

この後もっと痛くなるかもという恐怖。

でも私は「ガマンしなければ」と思い、そう答えた。

 

ギリギリギリ…

 

思った通りどんどん痛みは増してくる。

 

「うぅ…痛い…」

 

思わず「痛い」と言ってしまう。

 

「痛い?もうちょっとガマンしてや。」

 

「う…は…はい…」

 

痛い…痛い…結構痛い…

 

私はギリギリと器具を動かされる度に「うー」と呻いた。

 

「もうちょっとだから頑張って!麻酔使うと後で大変やから!」

 

私が呻いて「痛い」と言うと、おばさん看護師さんが半分怒りながらそんなことを言う。

 

 

だんだん強くなるこの痛みに耐えられなくなり、私は思わず大きな声で「痛いー!」と

身をよじりながら言ってしまった。

 

「えぇ?痛い?もう少しだから!」

 

おばさんが私の顔を覗き込みながらイライラした口調で言う。

でも私は一度「痛い!」と大きな声で言ってしまったのでもう耐えられなくなっていた。

 

「痛いです!ほんとに痛い!!もうだめです!!」

 

半泣きの状態で訴える私。

おばあさんは構わずギリギリと器具を動かす。

 

「痛い?あー…もう少しやねんけどなぁ。もうあかん?」

 

身をよじりたくなるほどの痛みが私を強く襲う。

小さな穴をギリギリグリグリとこじ開けられている痛み。

そして身をよじりたくても手足を縛られていてそれもままならない。

もう全てが絶望的などん底の気分にさせる。

 

「痛い!痛いです!いったーーい!!」

 

私は泣きながら叫んだ。

もう耐えられない。

これ以上この痛みが強くなるなんて無理だ。

 

「えぇ?もう無理なん?ほんまに?」

 

おばさんが冷酷な口調で私に言った。

ますます泣けてくる。

 

「もう無理です!痛いです!」

 

歯を食いしばりながら訴え続ける。

 

「あーそう。じゃ麻酔しよか。」

 

おばあさんが私の股の間からおばさんに声をかける。

 

「はい。じゃあ麻酔しましょう。」

 

おばさんはゆっくりとした動作で麻酔の準備をした。

私は「ゆっくりやってんじゃねーよ!!」と心の中で悪態をつきながら痛みに耐えた。

 

「じゃ麻酔しますねー。」

 

おばさんは私の腕をさすって血管を浮き上がらせようとした。

 

「えー。この子血管細いのねー。なかなかいいの出ぇへんわ。これは大変やわぁ。そう言われへん?」

 

この人は私が痛みに耐えていることがわからないのだろうか。

こんな時に私の血管の細さをめんどくさそうに悪く言うなんてどうかしている。

 

「…痛い。痛いです。うぅ…。」

 

情けなくて涙か出てくる。

なんで私はこんな場所でこんな体験をしているのだろうか。

 

「はいはい。この子痛みに弱いのねぇ。大袈裟なんやから。」

 

こんなに痛いのに「弱い」と言われ「大袈裟だ」と言われた。

なんて惨めなんだろう。

 

「はい。麻酔はいりましたよー。じゃあ一緒に数を数えてや。いーち、にーい…」

 

「いーち、にーい…」

 

私はおばさんに言われた通りに数を数えた。

が、「にーい」まで数えてから後はわからなくなった。

 

 

ハッ…

 

どれくらい時間が経ったのか経っていないのか、私は急に目覚めた。

その目覚めを誘発したのは『痛み』だった。

 

 

え?

あれ?

 

周りを見回すとまだ手術が続いている。

おばさん看護師さんが周りでウロウロしていて、何やら話している。

 

「あれ?この子目が醒めちゃった。」

 

1人のおばさんは私の方を見て驚いている。

その瞬間猛烈な痛みが私を襲う。

 

「いったい…痛い…痛い痛い痛い痛----い!!痛い痛い…痛ーーーいい!!」

 

 

どうやら私は術中に麻酔が切れてしまったようだった。

 

さっきよりの数十倍、いや数百倍の痛みが私を襲う。

『身をよじりたくなるような』なんていう程の痛みでなかった。

 

痛い痛いと騒ぐ私を見て、さすがにおばさんたちが慌てている。

 

「はいはい!今麻酔するから!!ほんっとにこの子は大袈裟な子やねぇー!大丈夫よー!」

 

慌てながらも「大袈裟な子だ」と言われたことにいら立ちを覚える。

 

「痛い!!痛い痛い痛い!!!」

 

手足を縛られているから動けない。

それでも身体を動かさずにいられないほどの痛みだった。

 

「はいはい!動かないで!!麻酔打てないから!!」

 

おばさんは今度は私の手の甲に注射を打とうとした。

 

痛い!!

猛烈に痛い!!

 

「いったーーーーい!!痛い痛い痛い痛い!!」

 

注射の針が確実に血管に入っていない。

身体も痛いし手の甲も猛烈に痛い。

 

「どっち?!どっちが痛いの?注射?!」

 

大騒ぎをしている私におばあさんが聞いた。

 

「こっち!!注射痛い!!痛い!!」

 

私は「身体も痛いんだよ!!」と叫びたい気持ちをグッとこらえておばあさんに訴えた。

 

「え?!ほら!!注射!!外れてる!!」

 

おばあさんがおばさん看護師に怒りの声をあげる。

 

「あ!はい!!ごめんなさいねー。今やり直すから。もーほんと大袈裟。」

 

おばさん看護師の言葉に私の怒りがマックスになった時、麻酔がスーーっと効いてきた。

そして私は再び深い眠りについた。

 

 

 

「終わりましたよー!起きてくださーい!ほら!終わりましたよー!」

 

どれくらい時間が過ぎたのかまったく見当がつかない。

ハッと気が付くと、私はおばさんに揺り起こされていた。

 

「起きた?大丈夫?じゃあこの車いすに移動してくれる?ゆっくりね。」

 

「あ…はひ…」

 

私は「はい」と返事をしようとしたのに「はひ」と言ってしまった自分に驚く。

口が上手く回らない。

 

手術台からなんとか起き上がり、下に足をつこうと足にまったく力が入らないことにも驚いた。

 

フラフラ…

 

「あ…」

 

よろけた私はおばさん看護師につかまった。

 

「まだ力が入らないでしょ。じゃこっちに座って。よいしょっと。」

 

おばさんは慣れた手つきで私を車いすに座らせ、最初に着替えた個室に私を連れて行った。

 

「はい。じゃここでゆっくり休んで。夕方までここで眠ってていいから。ちゃんとしっかり歩けるようになるまでいなさいね。」

 

おばさんは上手に介助をして、私を車いすからベッドに寝かせた。

 

「じゃまた様子見に来るから。ちゃんと寝ててや。」

 

「…はひ…」

 

朦朧とした頭で返事をする。

まだ「はい」とは言えない。どうしても「はひ」になってしまう。

不思議だ。

 

私はまどろみながらさっきの出来事は夢だったのかもしれないと思っていた。

 

カーテンで仕切られたベッドの上。

無機質な空気。

薄汚れてはいるけれど、目に入るものほとんどが白やホワイトの色ばかりだ。

点いていない蛍光灯を凝視する。

下腹に鈍い痛みがある。

いや、痛み…なのだろうか。

これは『違和感』と言った方がいいのかもしれない。

 

「あぁ…夢じゃなかったんだ…」

 

この下腹の違和感に気付き、さっきの出来事が夢ではなかったことがわかってしまった。

 

とろとろとした眠気に襲われる。

でも何故か眠ってはいけないような気がして私は眠気と戦う。

ここで眠ってはいけない。

私はここで眠る資格なんてない。

眠ってはいけないんだ…

眠ってはいけない…

 

私は眠っては…いけ…ない…んだ…

 

 

無意味な戦いに無様に負けた私は眠りについた。

 

 

 

つづく。

 

 

 

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