私のコト~私のソープ嬢時代の赤裸々自叙伝~

私の自叙伝です。雄琴ソープ嬢だった過去をできるだけ赤裸々に書いてます。

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自分たちが乗り込んだ電車が逆方向に行く電車だと気づいた私たちは、急いで反対側側のホームに向かって。

 

プルルルルル…

 

発車のベルが鳴っている。

 

「もう出ちゃう!!はよぉ!」

 

理奈さんが荷物を抱えて私に言う。

 

「うわー!待って待って待ってー!」

 

私はちょっとだけヒールのある靴を履いてきてしまったことを後悔していた。

 

「有里ちゃん!はよぉ!」

 

「うん!頑張ってる!!」

 

階段を駆け上り、駆け降りる。

私たちは息を切らせながらなんとか電車に乗り込んだ。

 

「うわーー!何とか間に合った!!」

「よかったぁーー!!」

 

2人で電車の座席に座り込み、「危なかったなぁー!」と言い合った。

そして顔を見合わせて「あはははは!」と2人で笑った。

 

 

「珍道中やな。私と有里ちゃんの2人やとこうなるんやな。あははは。」

 

理奈さんが楽しそうに言った。

 

「あははは。おもろかったなぁ。ほんまに珍道中やな。この後大丈夫かいな。」

 

私は笑いながらこの時間が永遠に終わらなければいいのにと思っていた。

 

 

理奈さんとの温泉旅行はとても楽しいものだった。

一緒に入る温泉。

一緒に食べる豪華な夕食。

浴衣でお布団の上をゴロゴロしながら一緒に観るテレビ。

 

「お布団が気持ちええな。な?有里ちゃん。」

 

ニコニコ笑いながらフカフカのお布団の上で寝っころがる理奈さん。

 

「うん。フカフカで気持ちええなぁ。」

 

ニコニコ答える私。

 

旅館のお布団のほどよく糊の効いているシーツが気持ちいい。

 

「あははは。この芸人さん最近よぉ出るなぁ。おもろいやんなぁ。」

 

お布団でゴロゴロしながらテレビを観て笑う理奈さん。

 

「あははは。うん。おもろいなぁ。」

 

答える私。

 

今のこの瞬間を忘れたくない。

 

たわいもない会話。

笑い合いながら、あーだこーだ言いながら観るテレビ。

ぽつぽつと交わす会話。

 

私にとっては全てが奇跡のような時間だった。

 

「有里ちゃんって前に女の子も好きって言うてたやんか。それってSEXの対象もなるってことやろ?」

 

理奈さんがテレビのCM中にそんなことを聞いてきた。

 

前に理奈さんと2人で飲んだときに私はそんな話しをしていた。

実際私は自分の事をバイセクシャルなんじゃないかと思っていて、どちらも性の対象になりうると思っていたし、女性とのSEXも何度か経験している。

高校生の時は女の子から告白されたこともあった。

 

「あー、うん。そうやね。特に『男好き』ってわけでもないし、だからといって『女性好き』ってわけでもないけどね。SEXの対象?うん。そうやねぇ。別にできるし、女性としたいと思うこともあるで。したいというか、攻めたい!みたいな感じかなぁ。」

 

私は本音を理奈さんに言った。

 

私は女性を屈したいという欲望が少しだけあって、女性との数回のSEXはいつも私が攻める立場だった。いわゆる“タチ”というやつだ。

 

「ほんまぁ?!私は全然思わんなぁ。まぁ男の人ともSEXしたい!と思う事あんまりないけどなぁ。」

 

まぁ…

それは毎日してるからと違いますか?と言いたいところだったけど、私は「うんうん」と聞く。

 

「有里ちゃん、今日私のこと襲わんといてやぁ。あはは。」

 

理奈さんが笑っている。

屈託なく。

 

「まぁ、それはわからんな。」

 

私はふざけて答えた。

 

「えーー!!私とはしたいと思わんやろ?色気もなんもないしな。あはは。」

 

「いや、それはわからんで。」

 

私はニヤニヤしながらもう一度言った。

 

「わー!どないしよー!有里ちゃんに襲われてしまうわ!」

 

理奈さんは胸の前で腕をクロスさせて「いやーん」と言った。

その姿が可愛くて笑ってしまう。

 

「襲わんから大丈夫やで。あはは。理奈さんとSEXしてみたいとも思うけど、それはただの好奇心やから。『したい!!』とかじゃないで。」

 

「そうか。安心したわ。でも有里ちゃんのそれはどういう感じなんやろなぁ。」

 

理奈さんは私の『性欲』というものを疑問に感じていたみたいだった。

私にとっては『性欲』ではなく『SEXと人と自分への強い興味』という感じだったのだけれど、それと『性欲』とはちょっと違うなんじゃないかと思っている。

女性とのSEXも私にとっては『私とSEXへの興味』だから『女性としたい!!』という欲求ではない。

 

私はそれをうまく説明できず、「まぁ興味がめっちゃあるってだけやで。」という言葉になってしまった。

 

「へー。そうかぁ。で?女の人とのSEXってどうやったん?」

 

理奈さんもちょっと興味があるらしい。

理奈さんは風俗誌に載っている、綺麗でスタイルの良い風俗嬢の写真をよく見ている。

それは自分のスタイルを保つための刺激だと言っていたけど、どこかで綺麗な女性に抱く性的な興味みたいなものも含まれているんじゃないかなぁ。なんて思う。

 

「え?そうやなぁ。まぁ興奮はしたなぁ。自分がやったことで喘ぎ声とか出してくれるのって興奮するんやなぁって思ったよ。ちょっと男性の気持ちがわかるーみたいな感じかなぁ。」

 

実際女性とのSEXは興奮した。

男性とのSEXも興奮する時もあるけれどそれはなんとなく『普通』のことで、女性とのその行為は『普通ではない』という点での興奮なのかと感じる。

 

「へぇ。そうかぁ。まぁでも私は無理やなぁ。別にしたいとも思わんしな。有里ちゃんの話し聞いてる方がおもろいわ。で、その相手のことは『好き』やったん?SEXしてみて『愛してるー!』みたいになったん?」

 

でた。

「好きなん?」とか「愛してるん?」とかの質問に私は弱い。

ずっと風俗嬢をやっている理奈さんもどこかで『SEXをする=愛があるから』という図式があるのかと感じ、「へー」と思う。

 

「うーん…まぁ好きは好きやったけど…それはなんていうか…『人間として好き』って感じかなぁ…『愛してる!!』とか『お前だけだぁー』みたいな感じではないで。」

 

ただSEXをしたというだけ。

私もしたかったし、相手もしたかったからしただけ。

そしてそれはとてもいい時間だった(ように感じる)っていうだけ。

 

「へー。で?相手は?向こうは有里ちゃんのこと『好きだー!』みたいにはならへんかったん?ハマっちゃったりせぇへんかったん?」

 

理奈さんが興味津々に聞いてくる。

女性とのSEXをした私の話しが面白いようだ。

 

「うーん…別にならへんかったなぁ。距離が縮まったっていう感じはあったけどなぁ。」

 

「へー。もし私が有里ちゃんとSEXしたら恥ずかしくてあかんわ。あはは。もう店でも話せんくなるかもしれんわ。」

 

理奈さんがはにかみながら言う。

 

か…かわいい…

 

「可愛らしいなぁ。へー。そうなんやなぁ。」

 

私は理奈さんをジッと見ながら答えた。

 

「やめてやぁ!襲わんといてやぁ!」

 

また腕を胸の前にクロスさせて身をくねらせる理奈さん。

 

「あははは。大丈夫やって!そんな鬼畜違うで!」

 

「鬼畜ってなんやねん!あははは。」

 

「ビール飲む?」

 

「そうやな。飲もうか。」

 

私たちはお布団から身を起こし、缶ビールを開けた。

 

「有里ちゃんはおもろいソープ嬢やなぁ。お客さん喜ぶやろ?」

 

ビールを飲みながら理奈さんが改めて言う。

 

いや、それを貴女の口から言われても。

 

「どうやろなぁ…。おもろいのかなぁ。もう毎日が精一杯でわからんわ。あはは。未だにどうしたら喜んでもらえるのかわからんしな。理奈さんにはかなわんしな。あはは。」

 

ほんとに毎日が精一杯だ。

もうすぐこのソープ嬢の期間が終わろうとしているのに、これは最後まで続くんだろう。

 

「有里ちゃんは真面目やなぁ。絶対お客さん満足してる人多いで。私がお客さんやったら有里ちゃんに入れたらめっちゃラッキーって思うで。」

 

理奈さんがそんなことをいうもんだから、うっかり泣いてしまいそうになった。

 

「えー?!ほんまに?!またまたぁ~。理奈さんはほんまにほめ上手やなぁー!」

 

うっかり泣きそうになったことをごまかす。

 

「ほんまやって!辞めてしまうのもったいないなぁ。」

 

なんて嬉しい事を言うんだろう。

雄琴ソープ嬢の中で人気ランキング殿堂入りを果たしている人にそんなことを言ってもらえるなんてすごいことだ。

 

「ありがとう。そんなこと言われたら嬉しくて抱きたくなるわ!」

 

「えぇ?!やめてぇ~!!」

 

「あははは!」

 

「あはははは。」

 

 

ひとしきり話し、私と理奈さんはリラックスしながら眠りについた。

ほどほどに酔い、温泉で温まったことで私の心が緩んだようだった。

 

こんなにリラックスしたのはどれくらいぶりだろう。

いつもの私がどれほど緊張しているかがわかる。

帰りたくない。

またあの現実に向き合わなければいけないんだ。

 

 

理奈さんとの一泊旅行は夢のような時間の連続だった。

ただ下呂温泉に行って、温泉に入って、美味しいお酒を飲んで、美味しい食事を食べて、浴衣でゴロゴロしながらテレビを観てお話ししただけなのに。

それが夢のような時間だった。

 

 

つづく。

 

 

 

 

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