私のコト~私のソープ嬢時代の赤裸々自叙伝~

私の自叙伝です。雄琴ソープ嬢だった過去をできるだけ赤裸々に書いてます。

92

 

その後、私はフリーのお客さんに入った。

そのフリーのお客さんとは可もなく不可もなくのような結果だったけど、さっきのおじさんとの時間が私をちょっとだけ変化させていた。

なんというか…

少しだけ肩の力が抜けたような、ほんの少しだけ気負いが減ったような…

そんな感じがしていた。

 

もちろんお客さんにつく前はド緊張なのは変わらないけど。

 

 

17時。

 

指名の中川のおじいちゃんが予約通りにやってきた。

 

「有里ちゃん。来たで。」

 

ニコニコとニヤニヤが混ざったような笑顔で中川のおじいちゃんはそう言った。

 

「ここは初めて来たなぁ。綺麗な店やな。」

 

中川のおじいちゃんは個室に入るとぐるりと部屋を見回した。

 

「ねー!綺麗ですよねぇ。中川さん、良く来てくれましたね!ほんまにありがとうございます!」

 

私は深々と頭を下げた。

 

「なんやー。来る言うたやろ?約束したやないか。そりゃ来るやろ。」

 

中川さんは私をベッドに座らせ、腰をグッと抱いた。

 

「そうやけど…ほんまに来てくれて嬉しいんですよ。」

 

私は中川のおじいちゃんの顔をすぐ近くでニコッと笑った。

 

「有里ちゃん…可愛いなぁ…」

 

中川のおじいちゃんは唇をグッととがらせてキスを催促した。

私は「ふふ」と笑いながらおじいちゃんにキスをした。

 

中川のおじいちゃんはいつも少し甘くてスッキリしたにおいがする。

きっとここに来る前に歯を磨いてくるんだろう。

 

「有里ちゃん…お風呂入ろう…」

 

中川さんはもう我慢できないと言いたそうな顔でそう言った。

 

毎度思う。

男の人はおじいちゃんになっても男なんだと。

 

「中川さん、私椅子洗いっていうの習ったんですよー。やります?どうします?」

 

私はお風呂場でおじいちゃんのカラダを洗いながら聞いてみた。

 

「ん?あぁ…椅子洗いかぁ…いらんかなぁ。」

 

おじいちゃんは椅子洗いはいらないと言った。

 

「マットは少しだけやってもらおうかな。少しでええで。」

 

そしてマットは少しだけ…

なんだ。

練習したかったのに。

 

「有里ちゃんはマット好きなんか?」

 

おじいちゃんが私に聞いた。

 

「え?うーん…まだ上手くないから、少しでも上手くなりたくて…好きか嫌いかとかまだ全然わからない状態ですよー。あははは。」

 

好きか嫌いか…そんなことまだ考えられない。

 

「中川さんはあんまり好きやないんですねぇ。マットも椅子洗いも。」

 

「ん?まー散々やってもらったからなぁ。いままで結構受けてきたけどたいした違いないからなぁ。どの子もだいたい同じや。」

 

お?!

ほー…

どの子もたいした違いがない…

んー…

その言葉、なんか悔しい。

でも今の私はその言葉を撤回できるほどの力量は…ない。

 

「マットの技術がすごい!って言われている娘にも入ったことあるんや。昔な。でもなぁ…まぁそんなにいう程でもなかったわぁ。」

 

おじいちゃんはニコニコとニヤニヤの中間のような笑顔で、結構厳しいことを言った。

 

「へぇ…そうなんやぁ…」

 

私はマットってそれくらい難しいものなんだな…と思った。

そして中川さんを唸らせることができたらすごいなぁと心の中で呟いた。

 

中川さんのおじいちゃんに短いマットをして、ベッドに戻る。

 

私が床にペタンと座るとおじいちゃんは「こっちおいで。」とベットに腰かけた自分の隣をポンポンとたたいた。

 

「はい。」

 

おじいちゃんは唇を尖らせてキスをする。

舌を入れてきても舌がピンと尖ったままで全く気持ちよくない。

 

 

おじいちゃんってなんでこうなっちゃうんだろう?

 

 

私は中川のおじいちゃんとキスをしながら冷静にそんなことを考えていた。

 

中川のおじいちゃんは勝手に自分で興奮して勝手にSEXを進めた。

 

これもおじいちゃんの特徴だな…

 

頭の中はずっと冷静だった。

それだけ全く気持ち良さがないってことなんだけど。

 

おじいちゃんはシックスナインの体勢をとらせた。

もちろん自分が下だ。

私を上にして、顔の上をまたぐように促す。

 

クンニリングスも舌と唇に力が入っていて全く気持ちよくない。

それに私はシックスナインが嫌いだ。

でも私は「あぁ!はぁん…」と声を出す。

 

サービス業だもんね。

これもサービスだ。

 

「気持ちええか?ん?」

 

中川のおじいちゃんが私に聞く。

 

ううん。

全く。

 

…とは言えない。

 

「あぁ…。は…はい。…きも…ち…いい…」

 

我ながらよく言うわ。

 

「そうかそうか。もっとやってやろう。」

 

おじいちゃんは嬉しそうにそう言った。

 

長い、全く気持ちよくない愛撫が終わり挿入し、おじいちゃんはほどなく果てた。

 

「はぁ、はぁ…有里ちゃん…よかったか?」

 

おじいちゃん…聞く?

 

「はぁはぁ…はい。すごく気持ちよかったです。」

 

おじいちゃんの隣に寝っ転がっている私は、おじいちゃんのほっぺにキスをした。

 

「そうか。よかった。」

 

そう言いながら、おじいちゃんは満足そうに私に腕枕をした。

 

「有里ちゃんは滋賀県の観光には行ったんか?」

 

中川のおじいちゃんはずっと滋賀県で生活している。

生まれも育ちもずっと滋賀県の人だ。

 

「えーと…大津に行ったくらいかなぁ。特に観光とかはまだしてないんですよ。」

 

ほんとは行きたいところがたくさんある。

草津にも守山にも近江八幡にもまだ行ったことがない。

どこも滋賀県の街だ。

 

信楽焼きは?まだ見に行ってないんか?」

 

信楽!!

 

ずっと行きたいと思っていた場所だった。

 

「行ってないんです!信楽は絶対一度行きたいところなんですよー!食器も買いたいし!陶器のビアグラスとか欲しいですよ!いいところですか?」

 

私は興奮して中川さんに聞いた。

 

「おー。ええとこやで。ええ店も知ってるんや。やすうていい物おいてるとこがあってな。」

 

「えーー!!いいなぁ…場所教えてください!どうやって行けばいいんだろう?」

 

信楽行きたい!

わーいつ行こうかなー

 

私は中川さんの言葉で一気に気持ちが信楽に向いた。

 

その時。

 

「連れて行ったろか?車で。案内したろか?」

 

おじいちゃんがそう言った。

 

え?

案内?

連れて行く?

 

ってことは…

店外で会うってことだよね?

 

えーと…

えーと…

 

「いつがええ?迎えに行ったるで。」

 

中川さんはニコニコニヤニヤしながら私に言う。

 

えーと…

えーと…

 

私が返事に困っていると中川さんは笑いながらこう言った。

 

「他の娘も何人も案内したことあるんや。大丈夫やで。心配せんでも。」

 

心配?

大丈夫?

 

私は何を心配してるんだろう?

そして中川さんは何を大丈夫だと言ってるんだろう?

 

そこを深く聞く勇気がないまま、私はいつの間にかこう答えていた。

 

 

「連れて行ってください!わー楽しみ!」

 

 

え?

え?

大丈夫なの?

私、大丈夫なの?

 

 

「うんうん。いつにしようか?」

 

中川さんは笑顔で話を進めた。

 

「えーと…火曜日と水曜日が休みなので…」

 

その話しに乗っかる私。

 

おいおい。

ほんとに行くの?

お客さんと外で会って平気なの?

 

「マンションどこや?どのへんや?」

 

「えーと、比叡山坂本駅の近くの…」

 

おいおい。

マンションの場所も教えてるやん。

 

「これ僕のTEL番号やから。あとでかけてきてくれるか?そしたら有里ちゃんの番号わかるからな。ええか?」

 

「え?はい。」

 

おいおい。

「はい」って言ってるやんか。

 

「じゃ来週の火曜日の朝10時ころ迎えに行くわな。ええか?」

 

「はい。お願いします!」

 

おいおい。

来週の火曜日って小林さんが夜来ることになってる日じゃん。

約束しちゃってるじゃん。

 

「楽しみにしといてやー。」

 

中川さんがニコニコと言う。

 

「はい!楽しみです!」

 

おーーーい!!

…有里ちゃん…

何言ってんの…?

 

 

 

「お客様お上がりでーす!」

 

 

個室を出て、階段の下まで送ると中川のおじいちゃんが小声で「ほなな。来週な。」と言った。

 

 

 

「はい。わかりました。」

 

 

小声で答える私。

 

 

笑顔で手を振りながら上がり部屋に入っていくおじいちゃん。

 

「はぁ…」

 

溜息をつく私。

 

約束しちゃった約束しちゃった約束しちゃった約束しちゃった…

 

「どうしよう…」

 

なんでこうなった?

どうする?

 

今日は土曜日。

火曜日まで今日を入れてあと3日。

 

…どうしよう…

 

 

 

つづく。

 

 

 

 

続きはこちら↓

93 - 私のコト

 

はじめから読みたい方はこちら↓

はじめに。 - 私のコト