私のコト~私のソープ嬢時代の赤裸々自叙伝~

私の自叙伝です。雄琴ソープ嬢だった過去をできるだけ赤裸々に書いてます。

 

ひょいっと階段の入口にお客さんが顔を出した。

 

「わ!びっくりした!」

 

ちょっと陰に隠れていた私の姿を見て、お客さんはびっくりしていた。

 

「あ!すいません!いらっしゃいませ!」

 

私は慌ててぺこりと頭を下げた。

 

「あ…はい…うん…。」

 

お客さんは私の姿を上から下までジロジロと見ながら、若干引きつった顔で曖昧な返事をした。

 

そのお客さんは小太りの30代であろう男性。

よれよれのTシャツにダサいジーパンをはいて、セカンドバックを持っていた。

良い人なんだろうと思わせる優しそうな顔つき。

額には汗をかいていた。

 

「お二階です。どうぞ。」

 

男性の目線も引きつった笑顔も気になったけど、気にしないふりをして案内する。

 

個室に入る。

ベッドに座ってもらい、ご挨拶をする。

 

「有里です。よろしくお願いします。」

 

三つ指。

まだ慣れない。

 

「あぁ。あはは…。うん。うん…。」

 

愛想笑いをしながら、ガッカリ感をあらわにされたような返事。

 

あぁー…。

タイプじゃなかったかぁ…。

どうしよう…。

なんとかしなきゃ…。

 

焦る私。

 

「お飲み物どうされます?」

 

明るく聞く。

なんとかこの空気をかえなくては!

 

「あぁ…。じゃあ…お茶で…」

 

肩を落とし、愛想笑いの顔のままで答える男性。

 

「はい!お風呂入れてきますね!」

 

どうしよう。

どうしよう。

なんとか突破口を見つけよう。

 

「私、まだ入ったばかりなんで慣れないですけど頑張りますんで!」

 

お風呂から戻り、床にペタンと座りながら言った。

 

「あぁ…。そうだってねぇ。フロントで聞いたよ。でもさぁ…。これはないよなぁ…と思っちゃうんだよぉ…。」

 

え?

すっごい落胆してる?!

そんなに?

そんなにダメ?!

私、そんなにダメですか?!

 

急に悲しみと申し訳なさに襲われる。

 

こんな私に当たっちゃってごめんなさい。

太ってるし可愛くないし慣れてないし、ほんと、ごめんなさい!

 

「え…っと…。なんかすいません…。どう…します?やめます?か?」

 

あまりの落胆ぶりに帰りますか?と促してしまった。

 

「あ!いや!ちゃうねん。あー…もう…。ちゃうねんで。」

 

私への気遣いと自分の落胆とが混ざってしまって返事に困っているお客さん。

 

「いいんですよ。帰りましょうか?」

 

なんとか笑顔で言う私。

 

「いや…ちゃうねん…。俺な、細い子が好きやねん…。あ!ごめんやで!」

 

ガーーーーーーン…

ガーーーーーーン…

 

そ、そりゃそうですよねぇ…

ほんとごめんなさい。

太っててごめんなさい。

痩せなきゃ痩せなきゃ痩せなきゃ痩せなきゃ…

 

頭の中でエンドレス。

もう消えてなくなってしまいたいぐらいだ。

 

「あー…。すいません…。そう…ですかぁ…。」

 

なんとか自分を保って返事をする。

 

「いや!ちゃうねん!有里ちゃんが悪いんやないねんで!俺な…」

 

その男性も一生懸命話そうとしてくれているのがわかった。

 

「俺な…前にいた麗ちゃんって子を指名してたんや。」

 

麗さん!!

来たっ!!

 

「あー!そうだったんですかぁ。さっきその方の名前を聞いたばっかりだったんですよ。」

 

いきなり名前が出てきてびっくりした。

 

「そうやねん…。めっちゃいい子でなぁ…。で、その子がめっちゃ細かってな。

今日、フロントの人が麗ちゃんみたいな子が入ったって言うから来たんやけどなぁ…。」

 

えーーーーー!!

めっちゃ細い麗さんと!私?!

ぜんっぜん違うじゃん!!

そりゃ落胆するわ!!

 

「えー…それは…ないですよねぇ…」

 

なんだかその男性が可愛そうになってしまった。

 

「はぁ…。あ!ごめんやで!有里ちゃんをいいっていうお客さんもおるしな!ほんまにごめんやで。有里ちゃんはなんにも悪くないで!」

 

優しい人なんだな。

こんなに一生懸命言ってくれて。

 

「あはは。ありがとうございます。気ぃつかってもらって。えーと…どうします?

お風呂とか入ります?それとも…帰ります?」

 

きっとすごく麗さんのことが好きだったんだろうなぁ…。

いなくなっちゃって淋しいんだろうなぁ…。

 

そんなことを思っていた。

 

「あぁ…。有里ちゃんええコみたいやしな。お風呂入るかな。」

 

男性は無理やり気持ちを立て直してるように見えた。

そんなに無理してここにいなくてもいいのに。

 

「そう…ですか…?いいんですか?」

「うん。入るわ。」

 

お風呂に入る。

カラダを洗っている時も、シャワーで流すときも、私のカラダには触れて来ない。

 

「マット…どうします?」

 

一緒に湯船に入りながら聞いてみる。

潜望鏡は…聞くまでもないか、と思って聞かなかった。

 

「おう。マットか…。やってもらおうかな。」

「はい。じゃ、準備しますね!」

 

 

マットを準備しながら(挿入はどうするんだろう?)と考える。

一応コンドームも用意しておこう。

 

「どうぞ。」

「うん。」

 

さあ!

私の練習時間がやってきた!

がんばるぞーー!!

 

丁寧にうつ伏せの状態から始める。

昨日の筋肉痛が残る腕と足。

力が入る肩。

プルプルと震える手足をなんとか駆使し、真剣にコツを掴もうと必死になる。

 

「有里ちゃん。うまいやん。」

 

小さな声で男性が声をかけてくれた。

 

「え?!ほんとですか?!めっちゃ嬉しい!!」

 

ガッカリはしてるだろうけど、少しでも気持ちよくなってもらおう。

そんな気持ちで一生懸命だった。

 

仰向け。

男性のおちんちんは勃っていなかった。

 

はぁ…。

やっぱりか…。

 

落ち込む私。

でもこれからだ。

私はなんとかその男性のおちんちんを勃たせたくなっていた。

意地だ。

 

ゆっくりと丁寧におちんちんに触れながら仰向けの工程をすすめる。

フェラチオ

ゆっくりとおちんちんを口に含む。

柔らかいムニムニのおちんちんを口に含んでいく。

左手をおちんちんに添えて、右手は玉を優しく包む。

肛門から蟻のとわたりをスーッと撫でる。

 

ムクムクムク…

 

ゆっくりと大きくなるおちんちん。

 

「うわぁ…」

 

男性の口から思わず声が漏れた。

 

いえーーい!!

やったぁーーー!!

 

心の中でガッツポーズをとる私。

 

チラッと男性を見ると、両腕で枕の部分をギュッと掴み、両目はギュッとつぶっていた。

顎を上げ、ときおり「うぁぁ…」と小さな声を発していた。

 

右手をスーッとマットの下に滑らせ、コンドームを取り出す。

昨日の失敗をもとに、少しだけコンドームの袋に切れ目をいれておいた。

口におちんちんを含んだまま、コンドームの袋を破こうとする…

 

今日はもう失敗しないぞ!

 

ん?

あれ?

 

袋に切れ目を入れておいたのは一片だけ。

 

え?

どこ?

どこに切れ目入れたっけ?

わからん!!

 

またもや焦る私。

 

せっかくおちんちん勃ったのに!!

ワタワタしてたら小さくなっちゃうじゃん!!

 

「有里ちゃん?」

 

バレた!!

 

男性は顔を上げて私の方を見ていた。

 

「は!はひ!!ごめんなさい!!」

 

口からおちんちんを外し、なぜか謝る私。

 

「あはは。それはええよ。口でイカせてくれるかな?」

 

え?

挿入しなくていいの?

 

「えー…はい。いいんですか?」

「うん。ええねん。」

 

そう言うと男性は頭を下げて目をつぶった。

 

コンドームをぽいと投げる。

口と手を駆使する。

 

数分後。

 

「うぅ!有里ちゃん!!イクっ!!うあぁ…」

 

男性、無事射精。

 

「はぁはぁ…」

 

息を切らせている男性を丁寧に洗う。

 

「なんかモタモタしちゃってすいません…」

 

また謝る私。

 

「はぁはぁ…。いや…ええねん…。なんかな、麗ちゃん以外としちゃいけない気ぃがしてなぁ。」

 

男性は目をつぶりながら小さな声でそう言った。

 

お風呂に入りカラダを拭いてベッドに戻る。

まだ時間が20分もある。

 

どうしよう…。

 

多分もう一回なんてしないし、私と話しても楽しくないだろうし…

 

そうだ。

この際だから麗さんのこと聞いてしまおうかなぁ。

あ!でも、あんまり聞いたら寂しさが増すかなぁ…。

 

「えーと…。お話し聞いても…いいですか?」

 

やっぱり聞いてみたくておどおどと聞いてみた。

 

「え?うん。なんの?」

「麗さんってどんな感じの女性なんですか?」

 

「あぁ…。はぁ…。」

 

男性は溜息をついて涙ぐんだ。

 

えっ!!!

涙ぐんでる!!!

えーーーー!!

 

「麗ちゃんなぁ…。ほんまええ子でなぁ…。可愛らしい子ぉやで。細い身体でがんばり屋さんでなぁ…。もう会えへんのかなぁ…。」

 

下を向きながら話す男性。

私はソープ嬢のことを泣きながら話す男性がいることに心底びっくりしていた。

 

「そんなに…好きなんですねぇ…」

 

男性はうんうんと小さく頷いた。

 

「有里ちゃんごめんやでぇ。嫌やんなぁ、こんなこと言われるの。他の子ぉのこと聞かされるなんて嫌やんなぁ。」

 

その姿をみていたら嫌な気持ちになんてならないよ。

むしろその麗さんに会ってみたくなるよ。

 

「そんなことないですよ。こっちが嘘ついちゃったみたいでほんとに申し訳なかったです。ごめんなさいね。」

 

男性はびっくりした顔でこっちを見た。

 

「有里ちゃんのせいやないやろ?フロントが悪いんやから。帰りに言うわ。文句言うたるわな。」

 

男性のガッカリはひっくり返せなかったけど、なんとか嫌~な雰囲気からは脱却できたような空気だった。

 

「有里ちゃん、もし麗ちゃんが帰ってきたら連絡くれへんかな?」

 

男性は思いもよらないことを言い出した。

これにはさすがの私も若干カチンときた。

 

「え?いやぁ~…。そういうことは出来ないですよぉ~。」

 

多分顔が引きつってたと思う。

 

私は麗さんに嫉妬していた。

ここまでお客さんに入れ込んでもらえる麗さんに。

 

いったいどんな人なんだろう?

 

どんどんと気になり始めた。

 

「そう…やんなぁ…。ごめん。」

 

しょんぼりしてしまった男性に声をかける。

 

「フロントに文句言ったあとお願いしておいたらいいんじゃないです?もどったら連絡くれるようにって。」

 

「うん…。そうやな…。」

 

お金を頂いてフロントにコール。

 

誰だよ!麗さんみたいだって言ったヤツ!

 

怒りが湧いてきていた。

 

「お客様お帰りです。」

 

怒りをグッと押し込めて冷静にコール。

 

「ありがとうございました!帰りましょうか?」

「…うん。有里ちゃん…ごめんな。」

 

階段の下まで送り「ありがとうございました!」と元気に見送る。

男性はフラフラとした足取りで帰っていった。

 

麗さんかぁ…

 

早く控室に帰って麗さんの話しを聞きたい。

急いでフロントで精算し、個室を片づけた。

 

原さんと美紀さんがお客さんに入ってないことを願って控室に戻った。

 

 

つづく。

 

 

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㉖ - 私のコト

 

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はじめに。 - 私のコト