私のコト~私のソープ嬢時代の赤裸々自叙伝~

私の自叙伝です。雄琴ソープ嬢だった過去をできるだけ赤裸々に書いてます。

コラム~有里ちゃんこぼれ話④~

 

いろんな方に「理奈さんはいまどうしているんですか?」と聞かれます。

なので今日は理奈さんのことについて。

 

理奈さんはほんとにすごい人でした。

本人はまるで自分をすごいなんて思ってないところがすごかった。

あんな人は他にいない。

自分でも言ってたけど、きっとOLさんとかやらせたら全然出来なかったんだと思う。

できたとしても別段目立たなかっただろうと。

顔立ちは地味だし、存在も地味な方なんだと思います。

それが風俗嬢になった途端、いや、風俗っていっても『ソープ嬢』になった途端にその才能を開花させるってすごいですよね。

もちろん本人なりの努力はしたんだと思うし、それなりに悩んだりもしたのかもしれない。

でもそんなことを微塵も感じさせない、ほんとに緩くてぼんやりしたところがある、でも気遣い細やかなところもある、とっても不思議な人でした。

私が男だったら一度だけでもいいからお客さんになりたい!と思うソープ嬢でした。

私の旦那さんである亮一さんにも「理奈さんの接客は一度受けてもらいたい!」と言っちゃうくらい。

(個室で理奈さんがどんなことするか知らないから知りたいっていう理由だけどね。)

 

理奈さんとは私がシャトークイーンを辞めてからも数年間は交流がありました。

たまに飲みに行ったり、理奈さんのお家に泊まりに行ったり、メールで近況をほうこくしたり。

私が辞めて4、5年後くらいに理奈さんは結婚をしました。

パチンコ屋さんで知り合った優しそうな口数の少ない彼と。

彼のご両親も理奈さんの職業を知っている状態で、でも優しくほんとの娘の様に接してくれてると言っていた。

彼も理奈さんの職業を認めていて、結婚してからもソープ嬢を続けていました。

私は理奈さん結婚後、理奈さんのお家に遊びに行き、旦那さんともお会いしました。

とても幸せそうな顔で「有里ちゃん、結婚ってええで。楽しいでぇ。」と言っていた。

私はソープ嬢を続けたまま結婚をすることができた、そして幸せそうな毎日を送っている理奈さんを見て「流石だなぁ」と思っていました。

「よかったなぁ」と。

 

その1年後くらいだったかな。

私は実家にやっと戻り、リフレクソジストとして働き、いわゆる『普通』の毎日を送っていました。

そんな時、突然理奈さんから「明後日から東京に行くんやけどどこかで会える?」とメッセージがきました。

 

理奈さんはなんらかのきっかけでLUNA  SEAというバンドにハマり、ライブの時にはゴスロリファッションを楽しいんでいると言っていた。

私が知っている理奈さんはゴスロリファッションとは縁遠い人でした。

スタイルがめっちゃくちゃいいから似合うんだろうなぁとは思ったけど。

 

LUNA SEAのライブがそっちであるからいくねんけど、有里ちゃんに会えたら嬉しい思て。」

 

そんなメールだったかな。

もちろん私はゴスロリファッションをしようがLUNA SEAにハマろうが理奈さんを好きな気持ちは変わりません。

 

「うんうん!会おう会おう!」

 

喜んで返事をした。

 

その当時私の勤務地は横浜で実家は町田。

仕事を終え、横浜線町田駅の改札で待ち合わせをした。

 

「有里ちゃーーん!久し振りー!!」

 

久し振りに会う理奈さんは化粧も濃くなり、洋服も少しだけ派手な感じに変わっていた。

ずっと茶色に染めていた髪をブラックヘアに変え、カラーコンタクトを入れていました。

 

「おぉ!変わったなぁ!」

 

私はそんな理奈さんを見て笑った。

変に似合ってて笑っちゃう。

 

「そやろ?変わったやろ?あ、そうや。連れがおんねん。」

 

そう言う理奈さんの横に、背の低い金髪っぽい茶髪の男性が立っていた。

 

「え?あぁ初めまして。有里です。」

 

突然のことで戸惑いながら私は挨拶をしました。

 

「初めまして!ユウキです!有里さんのお話は理奈さんからよく聞いてます!」

 

ダブダブのジーパンに派手なトレーナーを着ているその小柄の男性は、少年のように幼い顔をしていました。

その見た目とは裏腹に、とても礼儀正しい挨拶をした。

 

「ユウキはな、トキで働いてる子ぉやねん。」

 

理奈さんが可愛らしく笑いながらそう言いました。

 

あれ?

これは…えと…

もしかして…

そういうこと…?

 

なんだか嫌な予感。

 

私はその嫌な予感をなんとなくやり過ごし、駅近の綺麗めな居酒屋に案内して詳しく話しを聞くことにした。

 

理奈さんははにかみながらユウキのことを説明した。

 

「めっちゃ好きになってしまってなぁ。私がトキの子ぉ好きになるなんて意外やろ?なぁ?有里ちゃん。」

 

2人は隣同士で座り、なんだかずっとイチャイチャしていた。

 

「僕、理奈さんのことめっちゃくちゃ好きなんですよ!全力で守りたいんス!」

 

ユウキは23歳だと言った。

当時の理奈さんは31歳。

まぁ別に年齢なんていいんだけれど。

 

ソープ嬢とトキの従業員。

これはよくある構図すぎて、なんだか驚いてしまう。

理奈さんがその『よくある構図』にハマってることに。

 

「え…と…。こんなこと聞くのもあれなんやけれど…旦那さん…は?」

 

理奈さんは旦那さんとうまくいっていないなんて言ってなかったし、相変わらず幸せな結婚生活を送っているとばかり思っていました。

でも…これです。

 

「あぁ…あの人はな、私のことを家政婦くらいにしか見てへんねん。」

 

引きつった笑顔でそう言い放つ理奈さん。

 

「え…?そうなん?なんか意外やなぁ。そんな風には見えへんかったけど…」

 

私はユウキの手前、どこまでのことを話していいのか探りながら話しをしていました。

 

「あ、有里ちゃん気ぃつかわんでええから。ユウキには全部話してあるからな。な?ユウキ♡」

 

「あ、はい。全部聞いてます。理奈さんの話し聞いて、俺が守りたい思ったんですよ。こんな女性他にいないじゃないですか。俺、理奈さんと離れたくないんスよ。」

 

「えへへ。可愛いやろぉ~?トキに勤めてる子ぉなんてちゃらんぽらんな男ばっかりやと思ってたんやけどな、ユウキは違うねん。しっかりしてるしなぁ。」

 

目の前でイチャつきまくる2人を見て、私は「やべぇな…」と思っていた。

これ、しっかり『よくある構図』バリバリやんか。

 

それで?

それでアレくる?

よくあるアレ。

きちゃう?

 

「ユウキな、自分のお店持ちたいんやって。そやからトキで修行してはるんや。偉いやろ?考え方もしっかりしてるしな。そやから応援したいねん。」

 

きたーーーーー!!!

 

自分のお店持ちたいって…

めっちゃ『よくある構図』バッリバリのヤツやんか。

 

「あのさ…応援したいって資金援助も…ってこと?」

 

私は大切なことを聞いた。

ここ、めっちゃ大切。

 

「いや!俺はそんなこと思ってないっス!自分の力でやりたいんです!そやから理奈さんの助けは借りないつもりっス!」

 

ユウキがきっぱりと言う。

 

「偉いやろぉ?こんなこと言うねんでぇ。でも、私が出来る範囲で助けようと私は思ってる。」

 

「いや、それはアカンて。俺がちゃんとするから!」

 

「ちゃうちゃう。私がそうしたいんやって。」

 

「いやそれはアカンて。…て、毎回こうなるんですよ、有里さん。俺、こんないい女会ったことないっスよ。」

 

「もー何いうてんのぉ。でな、有里ちゃん。ユウキとは身体の相性もすごいいいねん。なぁ?私、なかなかイかへんやんか。知ってるやろ?有里ちゃん。そやけどユウキとはすごいねん。なぁー?」

 

「え?!恥ずかしいこといわんでよー!有里さん引いてるやんかぁ。」

 

「そんなことないやんねー?有里ちゃん。」

 

「…え?あぁ、うん。そうやね。あはは…」

 

この温度差。

 

ものすごく盛り上がる2人をサーッと冷めた心で見てる私。

 

2人が幸せならそれでいい。

それでいいけど…

けど…?

うーん…

 

この日は終始2人の惚気話を聞かされ、ちょっとだけ旦那さんの愚痴を聞き、お別れしました。

 

「じゃあね有里ちゃん。会えてよかったわ。楽しかった。ほなまたね。」

 

「有里さん、またお会いしましょう。会えてよかったです!おやすみなさい!」

 

「あぁ…うん。私も会えてよかった。またね。幸せにね。」

 

「バイバーイ!」

「うん。バイバーイ。」

 

イチャイチャしながら町田の街に消えていく2人。

私はその後ろ姿を見ながらものすごく複雑な気分になりました。

 

…大丈夫かなぁ…と。

 

 

その後。

理奈さんとパッタリと連絡がとれなくなりました。

理奈さんはよく携帯を壊してしまったりなくしてしまう人でした。

その度にメールアドレスが変わり、私に連絡してきていました。

ですがそれから1回も連絡がとれず、メールを送っても返ってきてしまうようになったのです。

そして私もメールアドレスが変わってしまい、連絡を取る術がなくなりました。

その時には富永さんと私も連絡をとっておらず、シャトークイーンの店長も代わってしまい…

 

そんなこんなでそれ以降、理奈さんがどこでどうしているのか全くわかりません。

 

どこでどうしてるのかなぁ…

あの伝説のソープ嬢は。

私が憧れて止まなかった、どうしても追いつけなかったあの人は。

 

どこかで元気にしていたらいいなぁ。

そして幸せだったらいいなぁ。

 

そんなことを思っています。

あんな面白くてすごい人、他にいないから。

 

 

今日はここまで。

 

ではまた。

 

 

 

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