私のコト~私のソープ嬢時代の赤裸々自叙伝~

私の自叙伝です。雄琴ソープ嬢だった過去をできるだけ赤裸々に書いてます。

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10月の後半、シャトークイーンに新しい女性2人が入ってきた。

 

「よかったなぁ。これで少し賑やかになるなぁ!」

 

理奈さんは無邪気に喜んでいた。

 

私は嬉しい気持ちと不安な気持ちがない交ぜになっていた。

というのも、今回入ってきた2人は雄琴内でとても有名な女性だったから。

雄琴内のいろんなお店を渡り歩いてきたその2人はどこの店でもかなりな人気だったらしい。

そんな2人が入ってきたというのに理奈さんは「嬉しいなぁ!」と本気で喜んでいた。

杏理さんは特に変わった様子もなく、相変わらず淡々としていた。

焦るでもなく、すごく喜ぶでもなく、相変わらずな様子だった。

 

新しい女性の1人はあきらさん。

かなり背が高く、足が長い。

小さい顔に1つ1つのパーツが派手な印象の顔立ち。

目も鼻も口も眉毛も全てが派手な印象を与える。

髪は黒髪のショートボブで、くせ毛のようなはね感が可愛らしかった。

 

『綺麗で可愛らしい』

 

そんな言葉がぴったりとくるような女性。

 

あきらさんは見た目は綺麗で可愛らしかったけど、しゃべるとそれが台無しになるタイプの女性だった。

 

「なぁなぁ、有里ちゃん。昨日な○○に行って来てんけどな、そこのアレはあかんわー!あんた知ってるか?あそこのあいつ、めっちゃワヤやで!だからな、私が言うてやったんよ!そしたら…」

 

初対面の時からこんな感じだった。

とにかく言葉が悪くて話す内容も「…この人…頭が悪いんだ…」と呆然とさせるようなことばかりだった。

 

初対面で「あんた」と言われるのは関西に来て慣れてきてはいたけど、それを言う人の感じによるんだなぁと改めて実感してしまった。

 

そんなあきらさんは前の店で女の子たちとトラブルを起こし辞めてしまったのだと言った。

 

…なんとなくわかる…

 

あきらさんはバンバン顔出しで雑誌に載る。

綺麗なルックスを生かして「別人だ!!」と思う様なポーズや雰囲気で風俗雑誌のグラビアを飾っていた。

  お店の宣伝にもなるし、顔出しで雑誌に載れる娘はどこの店も欲しがっている。

 

きっと富永さんもそこを考えてあきらさんを採用したんだと思う。

 

あきらさんは雑誌にバンバン載ることで有名でもあり、そして毎晩『トキ』や雄琴内のカラオケスナックの『ピカソ』で飲んでいることでも有名らしかった。

『トキ』や『ピカソ』は雄琴の情報が渦巻いている場所だ。

 

あきらさんの口から出てくる情報の多さとその言葉の品の無さに私は驚いていた。

それが面白くもあったのだけれど。

 

 

もう1人はあきらさんよりももっと有名な女性の乙葉さん。

乙葉さんはかなりな巨乳で童顔。

色白むっちりなカラダがすごく魅力的な女性だった。

薄い茶色の髪はサラサラのストレートで、前髪をあえてパッツンと揃えている。

おかっぱに近い髪型は乙葉さんの可愛らしい童顔をさらに際立たせていた。

 

乙葉さんもバンバン顔出しで雑誌に出る。

その出かたはあきらさんの上をいつもいっていて、かなりの確率で巻頭ページを飾っていた。

 

そして乙葉さんも毎晩のように『トキ』や『ピカソ』で飲んでいると聞いた。

 

 

そんなあきらさんと乙葉さんには決定的な違いがあった。

それはお客さんからの支持。

 

あきらさんは雑誌を見て指名をしてくるお客さんがとても多く、

そしてそれはリピートにつながらない一回こっきりのお客さんがほとんどだった。

 

一方乙葉さんはどこの店に変えてもずっとついてきてくれるお客さんがとても多かった。

 

乙葉さんはとても口数が少なく、こちらが質問をしてもニコニコしながら言葉少なに答える程度だった。

控室ではとてもおとなしく、子どもみたいな姿勢でいつも小さくなっていた。

 

2人とも歳は同じくらいで、多分30代前半くらいなんじゃないかと思う。

 

 

乙葉さんの勢いはすさまじいものだった。

入店してすぐなのにずっとお客さんが途切れない。

そしてその働きっぷりは尋常じゃなかった。

 

理奈さんは多くても1日に6本までと決めていた。

そしてお客さんとお客さんの間は少しでも時間をなるべく空けて欲しいと富永さんに言ってあるんだと私に教えてくれていた。

 

「忙しすぎるの嫌やねん。あはは。」

 

理奈さんはそういう人だ。

 

そして私もずっとお客さんに入りっぱなしだと意識が朦朧としてしまい、90分の『質』みたいなものが落ちてしまうと思い、生意気ながらも理奈さんと同じようにしてほしいと富永さんに言ってあった。

 

富永さんもそれをすごく重視してくれていて、1日に5本以上入りそうになるといつも「6本になってもええか?止めておくか?」と聞いてくれていた。

 

最高でも6本。

これが1日の私たちの本数だった。

 

乙葉さんは違った。

なるべくお客さんに入れてくださいと富永さんに最初から言っていたらしく、多い時には1日9本も入っている時もあった。

 

お店がオープンするのが昼の12時でクローズするのが夜中12時。

 

その間働き詰めなだけでもすごいことなのに、お客さんの希望に沿ってオープン前の10時半からお店に来てお客さんをとっている時もあったくらいだった。

もちろんその後もずーっとクローズまで入りっぱなし。

 

私は乙葉さんのその様子を見てなんだか怖くなっていた。

 

 

あきらさんと乙葉さん。

 

まるで違う2人がそれぞれにお客さんの指名を取り続ける。

そのスピードも勢いもすごくて私はちょっと焦っていた。

 

一方理奈さんはまるで気にしていない様子で「2人ともすごいなぁー!」と無邪気に感嘆の声をあげていた。

 

そして杏理さんは…

 

いつの間にかあきらさんと意気投合していて、いつも控室で仲良く話すようになっていた。

そして店が終わってからも一緒に飲みに行ったり、休日に一緒に出掛けたりしている様子だった。

 

私は控室でのあきらさんと杏理さんの会話があまり好きではなく、なんとなく控室の居心地が悪くなっていた。

 

「…あんな、こないだ富永さんがこんなこと言うねんで。私がこう言ったらな、富永さんがこう言ってな…」

 

こそこそと話している内容が漏れ聞こえる。

あきらさんはいつも富永さんの悪口を言っているようだった。

そしてそれを一生懸命聞く杏理さん。

 

「うん。うん。そうやんなぁ。そういうとこあるねんなぁ。わかるわぁ。」

 

2人で富永さんとこの店の悪口を言っているのがなんとなくわかる。

 

私はその様子を何度も見てしまい、胸がモヤモヤとしていた。

 

 

 

「今日久しぶりに飲みにいかへん?疲れてる?」

 

私はそのモヤモヤがガマンできず、久しぶりに理奈さんを飲みに誘った。

ふく田に行けば富永さんとも話せるかもしれないし、今のこの私のモヤモヤも理奈さんに聞いて欲しかった。

 

「久しぶりやな。ええよー。行こう行こう!」

 

理奈さんは笑顔で誘いに乗ってくれた。

 

あきらさんと乙葉さん。

 

この2人を採用した経緯や今の状況をどう感じているのかを富永さんと理奈さんの口から聞きたかった。

 

 

「あとでたくさん話ししたいねん。」

 

 

私は理奈さんに笑顔でこう言った。

 

このモヤモヤがどうなるか。

私は何を話したいのか。

 

ふく田に行く時間が待ち遠しかった。

 

 

つづく。

 

 

 

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132 - 私のコト

 

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