私のコト~私のソープ嬢時代の赤裸々自叙伝~

私の自叙伝です。雄琴ソープ嬢だった過去をできるだけ赤裸々に書いてます。

121

 

お風呂からでた中島さんは「ふぅ~」と言いながらベッドにドスンと腰かけた。

 

「もう一回ビールもらおうかー。」

 

カラダを拭いている私に向かってそう言った。

 

「あ、はい。今持ってきてもらいますね。」

 

「うん。」

 

中島さんは小さく頷くと、氷が全部溶けてしまって薄くなっているさっきの飲み残しの水割りをぐいと飲んだ。

 

程なくして運ばれてきたビールをグラスにつぎ、カチンとグラスを合わせて2人でグビグビと飲んだ。

 

「はぁ~。うまい。」

 

中島さんは抑揚のない声でそう言いながら飲み干したグラスに自分で2杯目のビールをついだ。

ビールをついでいる手を見るとやっぱりフルフルと震えている。

 

…アル中…なのかな…

 

私はそれとなく中島さんに質問をすることにした。

 

「中島さんは毎日お酒飲んでるんですか?」

 

まぁ無難な質問だな。

 

「お?酒か?おう。毎日飲んでるで。うまいやろー。酒は。」

 

「はい。美味しいですよねぇー。毎日どれくらい飲むんですか?」

 

この質問もまぁいいでしょ。

 

「どれくらい?んー…そやなー…ウイスキーやとボトル2本くらいやないか?」

 

おっほー…そりゃヤバい数だね。

 

「え?!ボトル2本?!それはすごいですねぇ。毎日それぐらいってことですか?」

 

「おう。そやな。そんなにすごないやろ?普通やろ。」

 

いやいやいやいや…

普通ちゃいますから。

 

「今日みたいに昼間から飲んでることもあるんですか?」

 

これは?だいじょうぶ?

 

「ん?今日は休みやからやんかぁ。いつもは仕事があるさかい昼間からは飲めへんやろー。」

 

おー

仕事はしてるんだな。

 

「中島さん、お仕事してるんや!あーよかった。あははは。」

 

もういいや。

失礼なことも言ってしまえ。

 

「なんや?仕事してへんと思ってたんか?こいつー。ぬははは。」

 

「あはは。してないように見えますよー。あはは。」

 

「ぬはははは。そうかぁ?」

 

中島さんは唾をいっぱい飛ばしながら気持ち悪い笑い声をあげた。

満面の笑顔もまた気持ち悪かった。

ただなんとなく憎めない感じもする。

 

 

「昼間のお仕事中はお酒飲まないんですよね?飲みたくなりません?」

 

この質問はどうだ?

 

「そりゃなるわぁー。でも仕事中やからなぁ。まぁたまに隠れて飲んでるけどな。ぬはははは。」

 

やっぱり…

 

「それダメやないですかー。バレません?お酒飲んでるって。」

 

「バレてるんやない?多分な。」

 

「ダメやないですか?!それでー…奥さんとかいてるんですか?」

 

「ん?嫁?おるで。」

 

奥さん…いるんだ…

 

「お子さんは?」

 

「子どもか?おるで。もうおっきなってるわ。」

 

子どももいるんだ…

 

中島さんはフルフルと震える手でグラスを持ち、ガブガブとビールを飲み続けてる。

 

「こんどはブランデーもらおうかー。」

 

個室に入ってからどれだけの量飲んだだろう。

大丈夫なんだろうか。

 

「…そんなに飲んで大丈夫ですか?もちろん車じゃないですよね?」

 

「お?おう。車で来ようと思ったんやけどやめといたんや。正解やろぉ?ぬははは。」

 

また気持ち悪い笑い方してる…

 

「それで…あのぉ…」

 

「ん?」

 

「もう残り30分もないんですけど…どうします?」

 

少しだけ打ち解けてはきているけど、やっぱり私はこの時間が苦痛のままだった。

早く解放されたくて仕方がない。

ヤることヤッてとっととこの時間を終わらせたかった。

 

 

「…SEXします?よね?」

 

もうダイレクトに聞いてしまえ。

するなら早くしようよ。

時間なくなっちゃうもん。

 

「お?おーしようかー。」

 

お?

するんだ。

じゃとっととしよう!

 

「なんやったっけ?あれ。えーと…さっきなんて言うてたっけ?」

 

中島さんがなにか言い始めた。

 

え?

なに?

なんの話し?

 

「切り…なんていうたっけ?もう一回90分のやつ。なんやった?」

 

まさか…

うそだよね…

 

「…切り返しですか…」

 

おそるおそる訊ねる。

 

 

「おー!そうやそうや。切り返しやな。それ頼むわ。」

 

 

 

まーじーかーー!!

 

 

「え?!ほんとですか?もう一回90分?!」

 

「おう。」

 

…ガーン…

 

あ、でもでもフロントに聞いてみないことにはわからない。

いくらなんでももう次の予約入ってるでしょ。

そりゃそうでしょー

だってもう3時間ちかく経ってるんだから。

というか、このおじさんともう3時間も一緒にいるんだ…

これからまた90分も一緒にいるなんて嫌だよぉ…

 

そんなことをぐるぐる考えながらフロントにコール。

 

「あの…もう一回切り返しとかって…無理ですよねぇ…?」

 

小声で富永さんと話す。

 

「お?もう一回?すごいやないかー。有里、やるやないかぁ。」

 

富永さんはちょっとからかうような口調でそう言った。

 

ムカッ!

全然すごくない!!

貴方は「無理やー」と一言言ってくれればいいの!!

 

「ちょっと待ってやー。えーと…」

 

予約票の確認をする富永さん。

 

とれないと言って!

無理だと言ってーーー!!

 

 

「…だいじょうぶやで。うん。いけるで。」

 

 

うわーーーーー!!!

 

「…はい…わかりました…」

 

もう泣きそうだ。

 

「ええお客さんやないか。がんばりやー。」

 

「…はい…」

 

私はガチャッと受話器をかけて振り向いた。

 

「どやった?いけるか?」

 

中島さんが悠々と酒を飲んでいる。

 

「はい。大丈夫です。」

 

きっと私の笑顔は引きつっているだろう。

 

「おう。よかった。有里?有里…やんな?こっち座りぃ。」

 

中島さんが初めて自分の隣をポンポンと叩いてこっちに来いと言った。

 

始まるか?

コトが始まるのか?

 

「はい。」

 

これからもう90分この人と一緒に過ごすんだ。

 

憂鬱だけど、もしこれからSEXが始まるんだったらちゃんと対応しよう。

だってそれが私の仕事でしょ?

それにこのフルフルとしているこのおじさんがどんなSEXをするのか興味あるし。

 

さて。

これからどんな時間が繰り広げられる?

そして私はどんな感情でどんな対応をする?

 

「…キス…します?」

 

隣に座った途端私のカラダをまさぐるように触ってきた中島さんにそう聞いた。

さっきまで卵サンドの乾いたカスがくっついていた口の周りをジッと見る。

 

「おう。」

 

その口が近づいてきた。

 

中島さんに歯磨きしておいてよかったぁ…

 

そんなことを思いながら、私とおじさんはキスをした。

 

中島さんとのSEXがいよいよ始まる。

 

 

つづく。

 

 

 

 続きはこちら↓

122 - 私のコト

 

 はじめから読みたい方はこちら↓

はじめに。 - 私のコト