私のコト~私のソープ嬢時代の赤裸々自叙伝~

私の自叙伝です。雄琴ソープ嬢だった過去をできるだけ赤裸々に書いてます。

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「有里ちゃん。今日のミーティングどうやった?」

 

理奈さんが控室の座椅子に座ったと同時に私に聞いてきた。

 

「えー…、そうですねぇ……楽しかったです!」

 

私は3人でふざけられたことが嬉しかっただけだ。

ミーティングの内容は別に楽しくもなんともない。

 

「えーー?!楽しかった?!ふーん…まぁ…でも…言われてみたら楽しかったなぁ。あはははは!」

 

「そうやな。楽しかったな。ははは。」

 

理奈さんと杏理さんは楽しそうに笑った。

 

 

「あの…理奈さん。聞いていいですか?」

 

私はどうしても聞きたいことがあった。

聞いてもどうにもならないことだとは思うんだけど。

 

「ん?なに?なんやろ?怖いわぁ。」

 

理奈さんは笑顔を崩さずそう言った。

 

「あの…なんでそんなに指名がとれるんですか?前に聞いたときは『店にいるのが長いだけや』っていうてましたけど…。絶対そんなんやないですよね?自分ではなんでやと思いますか?」

 

「あー!私もそれ聞いてみたかった!理奈ちゃんがどう思ってるんか聞いてみたいわぁ。」

 

杏理さんが珍しく身を乗り出して話しに加わった。

 

「そうですよね?!聞きたいですよね?!」

 

「うんうん!聞きたい!」

 

理奈さんはちょっと困った顔で私と杏理さんを交互に見た。

 

「えー…私そんなに指名とってへんでぇ。他の店にはもっととってはる人おるしなぁ…。」

 

そうなのかもしれない。

でもここでは、いや、私にとっては理奈さんは特別だ。

すごい指名の数だ。

 

「とってますよ!どうしたらそんなにとれるんだろう?っていつも思ってますよ!」

 

私は理奈さんにぐいと近づいて言った。

 

「私も思ってるわ。理奈ちゃんはすごいなぁって。」

 

杏理さんも素直にそう言った。

 

「うーん…そうか?ありがとう。そやなぁ…」

 

私と杏理さんは理奈さんの答えを待った。

理奈さんの口からどんな言葉がでてくるのかジッと待った。

 

 

「…なんでやろな?なんで指名してくれはるのかな?なぁ、有里ちゃん。なんでやろ?」

 

 

ずっこけた。

真剣にそう言ってる理奈さんがとても理奈さんらしくて可愛らしかった。

 

「あははは!私が聞いたんですよ!!なんで逆に聞かれてるんですか?!」

 

「もーー!理奈ちゃん!ほんま…理奈ちゃんにはかなわんわ。」

 

杏理さんと2人でツッコミを入れる。

 

「えー!だって…今真剣に考えてみたんやで。でもわからんかった!なんで?みんななんで指名してくれはるんやろ?自分でびっくりしたわ!みんな物好きやなぁ。あはははは!」

 

 

おいおい。

自分で物好きって言っちゃったよ。

自分で笑っちゃったよ。

 

ほんと。

この人にはかなわないな。

 

「いやぁ~、有里ちゃんに質問してもらってよかったわ。びっくりしたわぁ。考えたこともなかったわ。どうしてかー?とか。」

 

え?!

考えたことなかった?!

 

私は理奈さんのその言葉を聞いてびっくりした。

 

「え?え?え?お客さんがなんで自分を指名してくれたのか?って考えたことなかったんですか?」

 

かなり驚いた様子で理奈さんに質問をする私。

そんな私を見て理奈さんは驚く。

 

「え?ないで。有里ちゃんはいつも考えてるん?」

 

ガーーーン…

 

これだけ指名をとっている理奈さんは…

…何も考えていなかった…

 

「…いつも考えてます。ずーっと考えてます。どうしたら指名がたくさんつくのか。私のウリはなんなのか?って。」

 

私はいつもそのことで頭がいっぱいだった。

私が認められるにのはどうしたらいいのか?

私が人から受け入れられるためには何をしたらいいのか?

どうしたらこの店にふさわしくなれるのか?

 

そんなことばかり考えている。

 

「へーー!有里ちゃんはすごいなぁ!えらいわぁ。頭がええんやなぁ。私なんてアホやからそんなこと考えられへんわぁ。すぐ眠たぁなってしまうし。あははは!」

 

え…?

そうなの?!

 

「まぁ…私も考えるけど…すぐ他のこと考えてしまうわ。眠たぁなるのわかる。ははは。有里ちゃん、すごいわ。」

 

杏理さんも理奈さんに同意した。

 

 

ガーーーーン…

 

みんな私と同じように考えてるとばっかり思っていた…

ましてや指名をたくさんとっている人なんて、私なんかよりもずーーっと考えてるんだと思ってた。

普段はそんな素振りを見せなくても、一人の時には絶対すごく考えていると思っていた。

 

「ちょっと考えとくわ。有里ちゃんからの質問の答え。なんかいい質問してもらったわぁ。考えてみよーっと♪あ、たぶんわからんと思うけどな。あははは!」

 

理奈さんはあっけらかんと笑いながらそう言った。

 

「あ…あはは…はい…。たぶん…答えかえってこないんでしょうねぇ。ははは…」

 

「あはははは!有里ちゃんおもろい!」

 

杏理さんがウケている。

 

 

完敗だ…

また理奈さんに完敗だった。

 

でも、完敗したと感じてもやっぱり嫌な気はしなかった。

 

 

「新しい子楽しみやなぁ。辞められないようにみんなで優しくしようなぁ。」

 

話しがひと段落すると理奈さんがそう言った。

 

「そうですねぇ。」

 

「ええ子やといいなぁ。変な子ぉは嫌やわ。」

 

「そやなぁ。」

 

「まどかさん…どうしたんですかねぇ…」

 

「そういえば他の店の娘がまどかちゃん見かけたって言うてはったで。」

 

「え?どこでですか?」

 

「ほんま?どこで?」

 

「トキやて。」

 

「えーー!!トキ?」

 

「めっちゃ近所やないですか?!」

 

「うん。飲んで潰れてたって言うてたわ。」

 

「えー…」

 

「そうかぁ…」

 

 

理奈さんが他の店の子からまどかさんをトキで見かけたという話しを聞いてきていた。

私と杏理さんはその情報を聞いて少しだけ落ち込んだ。

お店には来ないのにお店のすぐ近所の『トキ』に来ていることがなんだか淋しかった。

 

 

「有里ちゃん、今度休み明けにでも行ってみるか?トキに。」

 

理奈さんが私を誘って来た。

思ってもみない誘いだった。

 

「え?!理奈さん行ったことあるんですか?トキ。」

 

私がいろんな人に「あそこには行かんほうがええ」と言われている場所。

「行ったらあかんよ。」と言われてる場所だ。

 

「え?あるで。前は結構行ってたで。ボトルもまだあるんやないかなぁ。」

 

理奈さんはキョトンとした顔で答えた。

 

「杏理ちゃんはお酒飲まへんもんなぁ。行かへんやろ?」

 

理奈さんが杏理さんに聞いた。

 

「うん。私はええわ。もし行ったら話し聞かせて。」

 

「うん。行くか?有里ちゃん。行ったことあるか?」

 

「え?」

 

行ってみたい!!

どんなところなのか見て見たい!

そしてなんでみんなが「行かんほうがええ」と言ったのか知りたい!

まどかさんがそこにいるなら話したい!

 

 

「まだ行ったことないんです!行きたいです!!」

 

「うん。ほな金曜日に行こう。な?」

 

「はい!」

 

 

 

これから数日後にシャトークイーンに新しい娘が入ってくる。

そして金曜日に私は初めて雄琴村のスナック、『トキ』に行く。

 

 

なんだかちょっとワクワクしてきた。

 

 

 

つづく。

 

 

 

 

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103 - 私のコト

 

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