私のコト~私のソープ嬢時代の赤裸々自叙伝~

私の自叙伝です。雄琴ソープ嬢だった過去をできるだけ赤裸々に書いてます。

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指名って誰だろう…?

 

緊張しながら階段横のカーテンの後ろにスタンバイをする。

しばらく待っていると上田さんがカーテンをバッと開けて入ってきた。

 

「おーアリンコー。指名やな。お願いしまーす。」

 

上田さんは相変わらずユルい。

 

 

「はい!お願いします!」

 

緊張して思わず声が上ずってしまった。

それを聞いて上田さんは「ん?」という顔をした。

 

「なんや?緊張してるんか?」

 

上田さんは首をかしげながら少し心配そうに聞いてきた。

 

「え?そりゃ緊張しますよぉ。毎回すごく緊張します!」

 

私はピッと背筋を伸ばして元気に「緊張します!」と言った。

ほんとはその場でバタバタと動き回りたいくらいの緊張だ。

 

 

「なんや。アリンコでも緊張するんやな。ははは。」

 

 

上田さんは笑いながら私の頭をポンポンと撫でた。

 

「アリンコは緊張なんかしないと思ってたわ。なんや。可愛いやつなんやな。ははは。」

 

えぇ?!

私は緊張なんかしないような奴だと思ってたって?

どういうことだ?

 

「緊張するに決まってるやないですか!いつもここで緊張してるでしょ?!」

 

「アリンコはいつも落ち着いてるように見えるで。緊張してるんやな。ははは。」

 

えぇ?!

私が落ち着いてるように見える?

何それ?!

 

私は意外な言葉を聞いてびっくりした。

 

「まぁ頑張れや。じゃ、呼ぶで。」

 

上田さんは私の背中をポンポンと優しく叩いた。

 

「はい!お願いします!」

 

私はわざと益々ピッと背筋を伸ばして大袈裟に言った。

 

「ははは。お前、アホやな。ははは。」

 

上田さんは笑いながらカーテンをパッと開けた。

私は上田さんと一緒にカーテンから出て、階段の横にひざまずいた。

 

上田さんが待合室の中に消えていく。

 

「○○様、お待たせいたしました。」

 

遠くでお客さんを呼ぶ声が聞こえる。

 

 

ドキドキドキドキ…

 

シャトークイーンでの初めての指名。

誰だろう?

誰だろう?

 

 

待合室からスッと足が見えた。

その瞬間私は頭を下げる。

 

「いらっしゃいませ。有里です。」

 

パっと顔を上げ「お二階へ…」と言いかけた時、お客さんは私の目の前をスッと通り過ぎ、階段を2、3段登っていた。

 

「え…?」

 

私が振り返るとそのお客さんは「え?二階でしょ?」と言いながら上を指差した。

 

「あ…はい。そうです。」

 

私がそう答えるとそのお客さんは「うん。」と言いながらどんどんと二階へ上がって行ってしまった。

 

「え?ちょっと…」

 

私は急いで追いかけた。

 

え?

だれ?

あんな人見たことないけど…

私が忘れてるだけ?

誰だ?

指名って…誰かと間違ってない?

 

「部屋どこ?」

 

先に二階に上がっていたお客さんがキョロキョロと見回している。

 

「あ、こちらです。どうぞ。」

 

私は3番の個室のドアを開けてお客さんを誘導した。

 

「あ、ここか。うん。」

 

お客さんは顎に手をやりながら若干落ち着かない様子で部屋に上がった。

 

「どうぞ。」

 

私はベッドに腰かける様に促した。

 

「あ、うん。」

 

お客さんは顎に手をやったソワソワとベッドに腰かけた。

 

「有里です。よろしくお願いします。」

 

三つ指をついて挨拶をする。

顔を上げた時、まじまじとそのお客さんの顔を見た。

 

白いワイシャツにグレーと青の縞模様のネクタイ。

背広は着ていない。

黒いベルトに濃いグレーのスラックス。

髪は白髪交じりで割と長め。

岩城滉一のような髪型をしている。

顔立ちは悪くない。

歳はだいたい50代前半ってところだろう。

背はあまり高くなく、体型は普通。

 

 

この服装からするとサラリーマンか中小企業の社長ってところかなぁ…

うーん…

多分…初対面だな…

 

「うん。有里ちゃんね。よろしく。」

 

あ!

今の返し!

絶対初対面だ!

 

うーんと…

じゃあどうして『指名』なんだろう?

それをどうやって聞いたらいいんだろう?

 

「お飲み物…どうされますか?」

 

とりあえず飲み物だ。

リラックスし始めたら聞いていこう。

 

「え?あぁビールもらえる?」

 

お?!

ビール!

いいねぇ。

 

「はい。ちょっとお待ちくださいね。」

 

フロントにコール。

 

「ビールお願いします。」

 

私は床にちょこんと座り、「今持ってきますから。」と言った。

 

「おう。有里ちゃんも飲むやろ?」

 

お?!

やった!

 

「いいんですか?」

 

笑顔で答える。

 

「おう。好きなんか?お酒。」

 

「はい!大好きです!」

 

「ははは!いーねぇ。じゃ一緒に飲もう!」

 

「はい!」

 

私がビールを一緒に飲むと言ったらおじさんの態度がガラッと変わった。

さっきまで落ち着きがなかったのはもしかして緊張してたのかもしれない。

 

コンコン

 

ノックが聞こえる。

 

「はーい」

 

ドアを開けると床に小瓶のビールが二本のったトレーが置いてある。

ボーイはなるべく個室内のお客さんの様子を見ないようにするのがここのルールだ。

注文の物を置いたら、ノックをしてすぐにその場からいなくなるようにする配慮をしている。

 

 

「来ましたよぉ~。」

 

「おー開けよう開けよう。」

 

冷凍庫から冷やしておいたグラスを出す。

 

「お!キンキンやないかぁ!やるなぁ。」

 

おじさんがそのグラスを見て喜ぶ。

 

「えへへ。なんか嬉しいですよねー。こうなってると。」

 

「いいねぇ。」

 

グラスにビールを注ぎ、カチンと乾杯をする。

 

ゴクゴクと二人でグラスのビールを飲み干す。

 

「くあー!」

 

「はぁーー!」

 

「うまいなぁー」

 

「あー美味しー」

 

二人で顔を見合わせて「わはは」と笑う。

 

「有里ちゃんか。いいねぇ。」

 

「ありがとうございます!」

 

「もう一杯いこうか。」

 

「はい!頂きます!」

 

おじさんは私の飲みっぷりに満足した様だった。

 

よし。

なんとかいい感じになった。

 

私は2杯目のビールに口をつけながら少しずつ質問をしていった。

 

「あのぉー…今更ながらなんですけど、初対面ですよね?」

 

「お?はははは!そうやで。」

 

「でも…指名ってなってたんですけど、これって…」

 

「あーそうやねん。新しい良い子が入ったってここのボーイさんから連絡が来てな。」

 

え?

ボーイさん?

 

「ボーイさんって…えーと…」

 

上田さん?

いやいや。

じゃあ…

 

「前は店長やったやろ?富永さんか。」

 

あぁ…。

冨永さんがそんなことを…

 

「もう古い付き合いでなぁ。新しい子が入ると必ず連絡くれるんや。」

 

「あぁ、そういうことだったんですねぇ。」

 

「おう。今日はよかったわー。有里ちゃんみたいな子ぉで。富永さん『絶対いい子やから!』って何度も言ってたんや。ほんまやな。はははは。」

 

わー…

冨永さん…

そんなこと言ってくれてたんだ…

 

「そんなこと言っちゃっていいんですか?まだビール飲んだだけですよ。あははは!」

 

「あ!そうやった!まだこう言うのは早いか!はははは!」

 

 

おじさんはこの後シャトークイーンのいろんな女の子の話しをしてくれた。

今はいない娘の話しはもちろん、今いるメンバーの話しを得意げにし始めた。

 

「理奈は良いヤツやなぁ。あいつはほんまに良いヤツや。人気が出るのはわかるわ。

でもなぁ色気がなぁ。はははは。それがあいつの良いとこでもあるんやけどな。淡泊すぎるんやなぁ。あいつとはSEXしようって気ぃにならへんもんなぁ。でもあいつは良いヤツや。」

 

おじさんは理奈さんに何度か入ったと言った。

そしていつもほとんどしゃべって終わりになると言った。

 

90分しゃべって終わるって…

そしてそれでもいいと思わせる理奈さんって…

 

やっぱりすごいと思った。

 

「まどかはエロいぞー。あいつはほんまに好きなんやな。SEXが。もう離せへんのや。わははは。え?何を離せへんって?そりゃちんちんやろー。もうすごいで。マットもねちっこいしな。あれは男はたまらんわなぁ。」

 

おぉ…

まどかさん…すげー…

ねちっこいマット…受けてみたい…

 

 

「でもあいつはあかんは。酒飲ませるとほんまにあかんで。電話番号教えろとかな、外で会うから金くれとかな、そんなん言い出すんや。だから富永さんにそのこと言うたんよ。注意せなあかんって言うといたんや。もう注意したんやないかな。

何回か指名したんやけどな、それがもううるさくてなぁ。外でお客と会ってるんやろな。そう言われて喜ぶ客もおるしな。俺はそういうのあかんのや。」

 

おー…

まどかさんがそんなことを…

そうとう男好きか、そうとうお金に困ってるかだな…

なるほど。

 

「杏理も良いヤツやでー。顔は綺麗し性格は良いしなー。サバサバしてるとこもあるけど割と女っぽいんや。あいつはいい女やと思うで。よぉ気ぃつくしな。しゃべっててもおもろいし、マットもまぁまぁやな。」

 

マットもまぁまぁ…

私、これからやるんですけど…

 

そうか、やっぱり杏理さんはいい女だったか。

 

「でもなぁ。本人も気にしてるけどな、胸がなぁ。あれはほんまに残念やな。顔は綺麗、お尻も綺麗、性格もいい…あれでほんの少しでもいいからおっぱいがあったら絶対売れっ子になると思うんやけどなぁ。ほんまにあれはもったいないなぁ。」

 

あぁ…

やっぱりそうなんだ…

そんなに?

そんなにないの?

 

「ぺったんこなんやで。あいつ細いやろ?やからな、少しのふくらみもないんやで。

ほんのちょっとでもいいからおっぱいがあったらなぁ。」

 

そうなんだ…

そんなにないんだ…

それは気にするよなぁ。

 

 

「さ!じゃあ有里ちゃんの腕前見せてもらうかなー。」

 

おじさんは散々いろんな子の話しをした後、そんなことを言って立ち上がり、自分で服を脱ぎ始めた。

 

「うわー…すっごいプレッシャーなんですけど…」

 

私は正直にそう言った。

 

「はははは!そうやろ?がんばってやー。はははは。」

 

うわ。

めっちゃいじわる。

 

おじさんは服を脱がせようとする私を制して「自分でやるからええで」と言いながらどんどん脱いでいった。

 

私は「よし。」と密かに気合を入れて自分の服を脱いだ。

 

 

「よいしょっと。」

 

おじさんはさっさとスケベ椅子に腰かけて私を待っていた。

 

「さ、始めますよぉ~。」

 

私はわざとニヤリと笑いながらおじさんに向かって言った。

 

「お!よろしくお願いしますぅ~。」

 

おじさんは笑いながら深々と頭を下げた。

 

「んふふ。やりますよぉ~。」

 

私はこの状況が楽しくなってきていた。

おじさんは今後私のことを他の娘のところで話すんだろう。

どう話されたっていいや。

私はこの時間を精一杯やろう。

 

おじさんと私のお風呂場での時間が始まる。

 

 

つづく。

 

 

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91 - 私のコト

 

 

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