私のコト~私のソープ嬢時代の赤裸々自叙伝~

私の自叙伝です。雄琴ソープ嬢だった過去をできるだけ赤裸々に書いてます。

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「クマさんが控え室で待ってるから行っといでー」

 

階段を降りると上田さんが私にそう言った。

私は「はい。」と返事をして控室に行った。

 

控室のドアを開けるとこたつに二人の女性が並んで座っていた。

 

「あ!今日から入りました有里です。よろしくお願いします!」

 

慌てて挨拶をする。

 

「あー!有里ちゃん?よろしくぅ~」

 

右側に座っている女性が鼻にかかったような甘えた声で挨拶をしてくれた。

 

「まどかですぅ~」

 

まどか…?

どこかで見たことがあるような顔だな…

 

「あ!まどかさん…て…あー!よろしくお願いします!」

 

さっき見た風俗誌に載っていた人だ!

 

まっすぐな長い黒髪。

真っ白な肌。

ちょっとポチャッとしたカラダつきはとても気持ちよさそうで触りたくなる。

目元が涼し気な、よく言えば『アジアンビューティー』、和風に言えば『こけし』のような顔をしたまどかさんはなんとなくエロくて「SEX好きなんだろうなぁ」と思わせる雰囲気を漂わせていた。

 

 

「へー有里ちゃんていうんやー。よろしくー」

 

左側に座っている女性がサバサバとした口調で挨拶をした。

 

「杏理(あんり)です。名前が似てるねぇ。」

 

杏理さんは「ははっ」と笑いながらそう言った。

 

小柄で細い杏理さんはとても美人だった。

大きな目に整った鼻筋、小さいけれど程よい厚みのある唇が小さな顔に綺麗に配置されていた。

肩先までの茶色の髪は柔らかいウエーブがかかっていて、それがとてもよく似合っていた。

 

「杏理ちゃんと有里ちゃん?ほんまや。似てるなぁー。あはは。」

 

まどかさんが無邪気に笑う。

 

二人ともとても気さくそうな雰囲気でホッとした。

 

「有里ちゃん、これから研修なんやろ?ほら!クマさん!起きて!」

 

社長のクマさんがまどかさんの隣で寝っ転がっていた。

まどかさんが「ほら!」と何度も言って社長を起こした。

 

「おー。じゃ、やるか。うん。」

 

クマさんはやっとのことで上半身を起き上がらせ、背中を丸めながら小さなしゃがれた声でそう言った。

 

 

「じゃ研修してくるわー。」

 

クマさんはフロントに座っている富永さんに声をかけに行った。

フロントの横のカーテンを開けて富永さんが顔を出した。

 

 

「おー有里。来たなー。研修がんばりやー。クマさんにちゃんと教えてもらうんやでー。」

 

「はい。富永さん、よろしくお願いします。頑張ってきます。」

 

「おう。クマさん、変な気ぃおこしたらあかんで。わかっとるな?あははは!」

 

富永さんがクマさんにふざけた様子で話しかける。

 

「なんやそれはー。アホいうな。ははは。」

 

クマさんが小さな声で答える。

 

クマさん…って…社長だよね…?

うーん…

 

その二人のやりとりはどう見てもボーイと社長のそれではなかった。

 

「じゃ、行ってきます。」

 

富永さんにそう言って先に階段を上り始めたクマさんを追いかけようとした時、

富永さんが小さな声でこんなことを言った。

 

「有里。クマさんな、お前みたいな子ぉがタイプなんや。気ぃつけろや。研修でクマさんがイッたりしたらワシに報告するんやで。男の方が研修でイクなんて絶対したらアカンことなんやからな。」

 

え?

…そうなんだ…

男性が研修でイクってことは絶対アカンことなんだ…

 

「…へー…はい。わかりました。」

 

「おう。がんばれ。」

 

 

男性側が研修でイッたらどうなるんだろう?

どうしていけないんだろう?

 

私は階段をのぼりながらそのことについてグルグルと考える。

 

今度富永さんにそのことをじっくり聞いてみよう。

 

 

階段を上ると1番の部屋の前でクマさんが待っていた。

 

「ここ?ここでええんか?」

 

「あ、はい!そうです!」

 

私は1番の部屋の扉を開けた。

クマさんはひょうひょうとして様子で部屋の中に入り、ベッドの上に「どっこいしょっと」と言いながら腰かけた。

私はパタンと扉を閉めて床に正座をして座った。

 

「よろしくお願いします。」

 

私はクマさんに向けて頭を深々と下げて挨拶をした。

 

「おいおい。はははは。そんなことしたのは有里が初めてやな。うん。じゃ、始めようか。」

 

「はい!」

 

クマさんはベッドに座ったまま話し始める。

私は一言一句聞き洩らしたくない!と思い、クマさんの言葉に集中した。

 

「有里は『椅子洗い』は習ったんか?」

 

クマさんが初めて聞く単語を私に言った。

 

「『椅子洗い』?って…なんですか?」

 

クマさんは「まーそーやなー」と言いながら話す。

 

「『椅子洗い』はな、スケベ椅子に座った状態でローションをつけてやるもんなんや。

マットの椅子版やな。今はやる子が減ってしまったんやけど、昔はみんなやってたんやで。今は教えられる人も少なくなってしまってなぁ。今日はそれも教えるから。出来る様になっとった方がええで。」

 

私は初めて教わる『椅子洗い』がどんなものなのか強く興味がわいた。

 

「まずは有里が一通りお客として受けてみて、その後やってもらおうか。」

 

「はい。おねがいします。」

 

「うん。じゃあこっち座って。」

 

私はベッドに座り、クマさんが床に座った。

 

「こうやってまず挨拶をするやろ?で、お客さんにお茶やらを出す。そうしたらお風呂のお湯を入れに行って…」

 

クマさんは丁寧に流れを説明しながら動く。

私はベッドに座ったまま、その動きと説明をなんとか覚えようと必死になっていた。

 

「で、洋服を脱がすんや。こうやってカラダを密着させながら脱がすんやで。」

 

クマさんは私のカラダに抱きつきながら着ていた洋服を脱がせた。

 

「こうやって畳むと膝の上で畳めるやろ?床に置く必要もないし、丁寧に見えるんやで。」

 

正座の膝の上で器用に綺麗に洋服を畳むクマさん。

私はその方法を「へぇー」と言いながら見ていた。

下着姿のままで。

 

クマさんは私のブラジャーもパンツも丁寧に脱がせ、裸になった私にふわっと優しくタオルをかけてくれた。

脱がせたパンツとブラジャーをとても丁寧に扱い、綺麗に畳んで籐製の脱衣かごに入れた。

 

「その後で自分も服を脱ぐ。こうやっていやらしく脱ぐんやで。」

 

クマさんは私に後ろ姿をみせたまま、くねくねとカラダをくねらせて服を脱いだ。

 

 

「こんな風にパッパッと乱暴に脱いだらあかんで。興ざめやで。」

 

クマさんは悪い例として乱暴にババッと服を脱いで見せた。

 

確かにそんな風に脱ぐ姿は見たくないかも…

 

「階段の下で挨拶をした時点でもうはじまってるんやから。服を脱ぐ時だってどんな時だって気ぃを抜いたらあかんで。」

 

そのとおりだなぁと納得する。

あんなにひょうひょうとしていたおじさん?おじいさん?から出る言葉と動きは「うんうん」と頷いてしまうことばかりだった。

 

「で、お風呂のお湯を止めて、お客さんに声をかけるんや。」

 

クマさんは私に「こちらへどうぞー」と言い、スケベ椅子に座らせた。

 

クマさんの身体は細身でところどころがシワっぽい。

でも肌がツルツルで気持ちよさそうだった。

下の毛に白髪がたくさん混ざっていた。

なんとなくチェックしたおちんちんは勃っていなかった。

 

スケベ椅子に座った私の足の間にちょこんと正座をして見上げるクマさん。

その様子がなんとなく女っぽくて「さすがだな」と思う。

 

 

「まずカラダを洗うんやで。洗面器にこうやって泡をいっぱいにして…それから優しく洗う。」

 

説明をしながらクマさんは手際よく、でも丁寧にことを進める。

カラダの洗い方は「花」で教わったのとあまり変わらなかった。

でも詩織さんよりもクマさんのが細かく丁寧で、とにかく気持ちよかった。

人に優しく洗ってもらうことがこんなにも気持ちいいものだとは…と改めて感じる。

 

シャワーをかける時もクマさんは最善の注意をはらう。

温度、シャワーの圧、お湯の飛び散り…

とにかく心地よくしようとしてるのがわかる。

 

「そしたら一回お風呂に入ってもらうんや。」

 

綺麗にカラダを洗ってもらい、ちょうど良い温度の広いお風呂に入る。

浴槽からクマさんの説明と動きに注意を向ける。

 

「この後椅子洗いをするんや。洗面器にローションを入れて…なるべく熱いお湯でローションを溶くんやで。」

 

クマさんはそう言いながら、すごい速さで両手を回転させながらローションとお湯を混ぜた。

その動きは詩織さんよりも早く、手慣れていた。

 

「だいたいローションの固さはこれぐらいやな。ゆるすぎても気持ちよくないし固すぎても滑りが悪い。」

 

クマさんは浴槽に浸かっている私にローションの入った洗面器を見せ、手ですくい上げてドロリと落としてみせた。

 

「じゃ、こっち来て。」

 

私をもう一度スケベ椅子に座らせ、クマさんはまた足の間にちょこんと正座をした。

 

「椅子洗い、はじめるで。一回で覚えるんやでぇ。」

 

クマさんはニヤリと笑いながら私にそう言った。

 

「はい。」

 

私は静かに返事をしてクマさんを見た。

クマさんはローションの入った洗面器に両手を突っ込んだ。

 

研修はまだ始まったばかりだ。

 

 

 

つづく。

 

 

 

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73 - 私のコト

 

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