私のコト~私のソープ嬢時代の赤裸々自叙伝~

私の自叙伝です。雄琴ソープ嬢だった過去をできるだけ赤裸々に書いてます。

 

5月最後の出勤日。

今日3人目のお客さんを階段の下で待っていた。

今日は調子が良く、今までの2人はどちらも指名のお客さんだった。

 

指名をしてくれる人が増えてきている。

土日になると指名とフリーのお客さんで枠がいっぱいになり、あまり控室にいることがないような状態になっていた。

 

それでも私は毎日かなり緊張していた。

 

慣れることなんてない。

毎朝緊張で吐きそうになるし、初めてのお客さんに付く前はいつだって心臓が爆発しそうで逃げ出したくなっていた。

 

 

廊下から足音が聞こえる。

 

来た!

 

良い時間になりますように良い時間になりますように良い時間になりますように良い時間になりますように良い時間になりますように…

 

胸の中で呪文のように繰り返す。

 

 

「うわ!びっくりしたぁー!!」

 

階段の下にいる私を見てびっくりするお客さん。

 

またやってしまった。

 

「すいません!!いらっしゃいませ!ほんとごめんなさい!」

 

もうちょっと私の姿を階段のところから見せておけばいいのに、緊張してるところを見せたくないばっかりにいつも隠れてしまう。

廊下を歩いてくるときに私の顔をチラッと見てしまい、ガッカリされたら嫌だと思っていつも身を隠してしまう癖がある。

結局見られることになるのに。

 

「あははは!ここにおるとは思わんかったー!」

 

明るい若い男性だった。

小太りの体型。

サラサラの黒い髪は少し目に入りそうなくらいの長さ。

顔の特徴は薄く、決してカッコイイとは言えない顔立ち。

ジーパンにだぼだぼのTシャツを着て、セカンドバッグを抱えていた。

 

「あはは!すいません!!お二階です。どうぞ。」

 

「あ、はい!ありがとう!」

 

ハキハキと明るくしゃべる男性に好印象を持った。

時間は70分。

良い時間が持てそうな予感がして胸を撫で下ろしていた。

 

 

「有里です。よろしくお願いします。」

 

三つ指をついて挨拶をすると、その男性は自分もベッドから降りて正座をした。

 

「小林です!よろしくお願いします!!」

 

頭を下げて元気に挨拶をした。

 

二人で狭い個室内で正座をして向かい合っていた。

 

「あっははははは!こんなんしたお客さん初めてです!あははは!」

 

私はその状況がおかしくて笑ってしまった。

 

「えっ?!そうなん?!挨拶されたらこっちもするやろ?!あははは!」

 

小林さんは終始いい人だった。

そしてたくさんお話をした。

お風呂に入るのも忘れてしまうくらいに。

 

「有里ちゃんは…えーと…聞いていいのかな…」

 

聞きにくそうに目が泳ぐ。

こういう時はだいたいアレを聞きたがっていることが多い。

 

「いいですよ!なんですか?」

 

「…どうしてここで働いてるのかな?…何かあったん?」

 

これ。

小林さんはいい人だ。

「聞いてもいいのかわからないけど…」と、ちゃんと言葉をつける人はたいがい良い人だ。

「どうしてこんな所で働いてんの?」と聞いてくる人はたいがい横柄な人だった。

 

 

私はこの一か月半くらいの期間でだいたいの質問の答え方が決まってきていた。

 

「あー…まぁ人の借金の肩代わりというか…返さなきゃいけないお金がありまして…」

 

私の経緯はなかな説明が難しかった。

なのでこんな感じで答えていた。

 

「えー!なに?連帯保証人とか?そうなん?」

 

違います。

連帯保証人にもなってません。

 

「えーと…まぁそんな感じです。返さないと私が今後生きていけない気がするので返したいんですよー。」

 

いつもなら「まぁそんな感じです。」で終わらせるのに、今日は何故かその先の言葉が出てしまった。

小林さんが良い人オーラを出しているせいかもしれない。

 

「え?!返さないと生きていけない気がする?えー…そうなんやぁー…」

 

考え込んでしまった。

これはいけない!

 

「いやいやいや…そんな大したことじゃないんですよ!この仕事楽しいですし!あ!お風呂!!入りましょ!」

 

「…うん!そうやな!入ろう!!」

 

 

小林さんは私に服を脱がさせてくれなかった。

「ええって!」と言いながらバンバン脱いで脱衣かごにバンバン洋服を入れていった。

 

「俺の服なんてこうでええんやって!有里ちゃん、俺には気ぃ使わんとゆったりしぃな。」

 

若いのに…こんなに気を使ってくれて…

 

「ありがとう。」

 

私はサッと服を脱いでお風呂に誘導した。

 

カラダを洗いながら小林さんは照れくさそうに小さな声で聞いてきた。

 

「キ、キス…してもええの?」

 

抱き着きながら背中を洗う。

その時私はほっぺにキスをした。

 

「…ええよ。」

 

笑いながら答える。

 

小林さんは急に激しくキスをしてきて強くぎゅうっと私を抱きしめた。

 

「…んんんー!ちょっと痛いです…」

 

キスしている口を外してなんとか言った。

 

「あ!あぁ…ごめんごめんごめん!つい…ほんまごめん!」

 

「んふふふ。びっくりした。」

 

泡を流してお風呂に入る。

 

「失礼します。」

 

先に入っている小林さんの前に足を入れて入る。

 

「失礼してして!入って入って!寒くない?」

 

小林さんはお湯から出ている私の肩に手でお湯をすくってかけてくれた。

 

「そんなんしなくても大丈夫ですって!もー優しいなぁー。」

 

「さっきはごめんやで。つい抱きしめたくなってん。」

 

小林さんが照れ笑いを浮かべながら言った。

 

「え?えへへ。ううん。」

 

「有里ちゃん、こっち来て。」

 

小林さんは私を後ろ向きにして自分の胸の上にもたれかけさせた。

後ろから私を包み込んで抱きしめるスタイルになった。

 

まるで恋人同士のような時間だった。

 

「小林さん。あの…潜望鏡とか…どうします?」

 

抱きしめられながら言う言葉じゃないかもしれないなぁと思いながらも確認する。

私はソープ嬢だ。

 

「あー…って、それ、なんだっけ?」

 

小林さんはいつも先輩との付き合いでソープに来ていると言った。

まだ数回しか来ていないらしい。

 

潜望鏡の説明を恋人同士のようなスタイルのままする私。

後ろから抱きしめられながらする説明じゃないよなーと思いながら。

 

「へー!そんなんされたことないなぁー。」

 

衝撃の言葉だった。

 

「え?!されたことないいんですか?聞いたことも?!ソープに来てるのに?!」

 

後ろを振り返りながら聞いてしまった。

 

「おぉ。うーん…されたこと…ないなぁ…。いつも結構機嫌悪そうな人が多かったからなぁ。まぁ話してるとだんだん優しくなってくるんやけど。あ!あと今まで50分だったからかもしれへん!」

 

50分だって私はやるし、聞くよ!

 

心の中で思っていた。

 

「有里ちゃんみたいに親切な子ぉ初めてや。70分にしてよかった!」

 

親切って…私はお客さんの前で機嫌悪くいられるほど強くないだけだよ。

 

結局潜望鏡はせず、マットをすることになった。

 

「まだうまくないんやけど…頑張ります!!」

 

マットの用意をしながら私は小林さんに向かって言った。

 

「おう!味わさせて頂きます!あはは!でもな、気ぃつけてな。」

 

いちいち優しい。

この人はいつもこうなんだろうな。

 

「どうぞ。転ばないように気をつけてください!」

 

「うん。おぉっと!よいしょっと!」

 

バターンと大きな音を立てて小林さんはうつ伏せになった。

 

小太りだけどぶよぶよしてないカラダ。

ギュッとつまってるような、そんな感じだ。

 

カラダを洗ってる時から気になっていたところがある。

 小林さんのカラダは全身の体毛が濃く、そして毛が長かった。

胸毛も濃いし、背な毛も濃い。

脛も太ももも全部が濃くて長い。

 

私は体毛が濃い人が苦手だ。

そしてただ苦手なだけじゃなく、マットでローションをつかう時にめちゃくちゃやり辛かった。

体毛が濃いと滑り辛くて吸い付き辛くて、お客さんも気持ちよくないんじゃないかと不安になる。

 

そんな思いを隠してやり始める。

 

スルスルー…とはいかない。

ズ…ズルズル…

私のカラダ感覚はそんな感じだった。

自分の肌が擦れる感じもあまり好きではなかった。

 

小林さんを見ると目をつぶっていて気持ちよさそうだった。

 

「有里ちゃん…気持ちええわぁ…」

 

ならよかった。

 

仰向けになってもらうためにカラダの下に通した腕をクイと引っ張る。

 

グルン!

 

「おお!うおー…すげー…」

 

うん。

良い反応です。合格。

 

「んふふふ。大丈夫ですか?」

 

「うん。有里ちゃん、じょうずやんかー!気持ちええわー!」

 

ほんとに気持ちよさそうに言ってくれて嬉しかった。

 

「でも…疲れるやろ?もし疲れてたらもうええねんで。休んでもええねんで。」

 

ちょっと!

そんな優しいこと言わないで!

 

「え?あははは!そんな!大丈夫ですよ!これくらいで疲れませんよー。もー。」

 

ちょっと心がグラついているのがわかった。

小林さんが優しすぎて。

 

「そう?言うてや。疲れたら。無理せんでええから。」

 

一生懸命やろう。

気持ちよくなってもらおう。

 

私はそんなことを思っていた。

 

小林さんのおちんちんはずっと勃起していた。

…と思う。

というのも…小林さんのおちんいちんはかなり小さかったからわかり辛かった。

 

毛深い上におちんちんが小さいので、少し埋もれているような状態だった。

 

コンドーム…大丈夫かなぁ…

 

サイズが心配だったけど、なんとかはめることができた。

 

上にまたがり挿入する。

 

「うぅ…あぁー…」

 

小林さんは気持ちよさそうにうめいた。

私は…入ってるのがあまりよくわからなかった。

 

「あぁ…はぁはぁ…」

 

気持ちいい演技。

コンドームが余っていてぐしゃぐしゃと変な音がしていた。

 

「もうあかん!!イクわ!」

 

まだ数回しか動いてなかった。

 

「うん!あぁー!」

 

「うあっ!!あぁ…はぁはぁ…」

 

小林さんはあっけなくイッた。

パタンと上半身に倒れこむ。

ほっぺにキスをして「気持ちよかったです。」と呟く。

嘘だけど。

 

「俺も。めっちゃくちゃ気持ちよかった。ありがとう。」

 

嬉しそうな顔。

可愛かった。

 

ローションを流しお風呂に入る。

お風呂からあがってカラダを拭こうとしたら小林さんは

 

「ええから!有里ちゃん風邪ひいてまうから!自分で拭くからええよ!」

 

と言った。

 

ベッドに座ってお茶で乾杯をした。

 

「もう時間あんまりないやろ?」

 

確かにもうすぐ時間だった。

 

「そうですねぇ。もうすぐですね。」

 

なんだかこの時間が終わってしまうのが名残惜しかった。

 

「…そうかぁ。…あのさ…有里ちゃんが嫌じゃなかったら…延長してもええかな?」

 

延長の聞き方も優しい。

 

「はい!聞いてみますね!」

 

この人ともう少し一緒にいたい。

そんなことを思ったのはソープ嬢になってから初めてのことだった。

 

フロントにコール。

 

「あの、延長大丈夫ですか?」

 

延長は20分単位だった。

あと20分は一緒にいられる。

 

「えーと…あ、無理ですね。次のお客さんお待ちです。ご指名です。」

 

ガーン…

 

「あー…そうですか…わかりました…」

 

ガチャリとインターフォンの受話器を置く。

 

「あかんかった?」

 

「はい…もう次のお客さんがいるって…」

 

「そうかぁー…最初から90分にすればよかったなぁ…」

 

がっかりしながらベッドに座る。

 

「まぁしゃーないわ!またすぐ来るわ!ええやろ?また来てもええやろ?」

 

「もちろんですよ!待ってます!」

 

小林さんはベッドでは私のカラダに触ろうとしなかった。

キスもしようとはしてこなかった。

「寒くないか?」とか「疲れたんやない?」とかそんな気遣いばかりしていた。

 

お金を払う時も「ほんまにありがとう!」と言いながら丁寧に渡してくれた。

 

こんな人、初めてだった。

 

「またぜったいすぐ来るから!有里ちゃん、カラダ壊さんように。無理せんとな。」

 

「はい。ありがとう!」

 

階段で別れるとき、小林さんが握手を求めてきた。

ハグでもキスでもなく、握手。

 

私は手を差し出しギュッと小林さんの手を握った。

 

「じゃ、また。」

「うん。また。」

 

 

その日から私は小林さんが来てくれるのを少しだけ期待するようになった。

ほんの少しだけ。

 

 

つづく。

 

 

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