私のコト~私のソープ嬢時代の赤裸々自叙伝~

私の自叙伝です。雄琴ソープ嬢だった過去をできるだけ赤裸々に書いてます。

 

「ありがとうございましたー!」

 

おじいちゃんを見送り控室に戻る。

しばらくテレビを見ながらダラダラしていると、広田さんが控室の入口からひょっこり顔を出して「有里!」と呼んだ。

 

「はい?」

 

広田さんのほうに目をやると、広田さんは「こっちこっち」と手招きをしていた。

 

「なんですか?」

 

廊下に連れ出され、小声で話す。

 

「あんな、申し訳ないけどまたすぐお客さんに入ってほしいねん。」

 

広田さんは申し訳なさそうに言った。

 

「え?それは別にいいですけど…」

 

控室には今日まだ一本もお客さんに入っていないおねえさん達が結構いた。

お客さんに入る順番は出勤してきた順で決まる。

私は今おじいちゃんに入ったばかりなので、まだ順番は回ってこないことになっている。

 

「でな、有里をここで入れてしまうのはマズいやろ?文句言われるしな。

だから、呼び出しのときには『ご指名です』って言うからな。」

 

フリーのお客さんは順番。

指名と言われてしまったら何にも言えない。

 

「はぁ…はい。わかりました。」

「頼むな。」

 

広田さんは拝みながら言った。

 

なんだかおねえさんたちに嘘をつくのは気が重い。

めちゃくちゃ良くしてもらってるのに。

 

 

「有里さん。有里さん。ご指名です。」

 

 

さっそくスピーカーから呼び出しの声が聞こえる。

 

「はい。」

 

身支度を整える。

 

「有里ちゃん、最近調子いいやんかー。よかったなぁー。」

 

美紀さんがニコニコと声をかける。

 

「あー…いやぁ…ありがとうございます。」

 

あぁ…気が重い。

 

「行ってきまーす!」

「いってらっしゃーい!がんばりぃー」

 

はぁ…まぁ頑張りますか。

 

階段の下で待つ。

やっぱり一番緊張する時だ。

私をわざわざつけた理由はなんだろう?

聞けばよかったなぁ。

 

「うわっ!」

 

初めてのお客さんは、廊下から階段の入口に来るとたいていびっくりする。

私が立ってることに気付かないから。

 

「うわっ!」

 

その声で私もびっくりする。

何回もこのやりとりをやってる。

これは立つ場所考えなきゃだなぁと毎回思う。

 

「びっくりしたぁ~」

「ごめんなさい。いらっしゃいませ!お二階です。」

 

胸のあたりを抑えながら驚いているそのお客さんは…

 

…めちゃくちゃ若い男の子だった。

 

紫のニッカポッカにカラダにぴったりとフィットしているグレーの長袖のカットソー。

グレーのカットソーに包まれたカラダは細身で少年のようだった。

サラサラとした髪は金髪に近い茶色。

前髪は長く、横は耳の下あたりまで伸ばしている。

ロン毛とまではいかないけどちょっと長めといった感じだった。

 

「あ、よ、よろしくお願いし、ます!」

 

緊張している様子が伺える。

顔をよく見るとほんとに幼い顔をしていた。

ニキビがところどころにあるのがまた可愛らしい。

 

個室に入りベッドに座ってもらう。

三つ指をつきご挨拶。

 

「有里です。よろしくお願いします。」

 

「あ、えと、ども。よろしくおねがいします!」

 

少年はベッドから腰を浮かし、ぺこっとお辞儀をした。

その仕草がまた可愛らしかった。

 

「んふふ。お風呂入れますね。」

「あ、はい。お願いします!」

 

ソワソワとまたベッドから腰を浮かす。

 

「ゆっくり座っててください。んふふ。」

「あ、はい!」

 

少年はキョロキョロと周りを見回していた。

 

「初めてですか?」

 

お風呂場から戻り、床にちょこんと座りながら聞く。

 

「え?えっと、はい!そうなんです!初めてなんです。だから…あはは、緊張してしまって…。」

 

少年はもぞもぞと動きながら答えた。

 

「そうですかぁ。そりゃ緊張しますよねぇ。」

 

私も緊張しますもん!

 

「えと、あの、えーと…」

 

少年は何やら言おうとしている。

 

「え?どうしたんですか?何?」

 

クイと近づき顔を近づける。

 

「えと、あの…初めてなんです…全部が…」

 

え?

なに?

 

「え?全部が?って…えーと…あれ?そうなの?ソープが初めてじゃなくて?」

 

少年は顔を下に向けて、すごく恥ずかしそうにしていた。

見た目とは全然違う態度だった。

 

「はい…。それで親方がここに行ってこいってお金くれて…。」

 

親方。やるな。

 

「あー、そうなんですねぇ。粋な親方ですねぇ。」

「はい。親方も雄琴で筆おろししたって言ってました。ここのおねえさん達には頭が上がらないって。」

 

 

(*解説*

男の人が童貞を卒業することを「筆おろし」って言います。

あ、これは知ってるか。知らなかった人っているのかな?)

 

 

童貞くんだ…

どうしよう…

 

私は童貞くんを相手にするのが初めてだった。

 

初めての相手が私でいいのかなぁ…

どうしてあげたらいいんだろう?

 

頭の中はフル回転だった。

コースは50分。

あまり時間がない。

マットは?

した方がいいのかなぁ。

うーん…

 

 

「えーと…、実は私、ソープ嬢になりたてでね。あんまり慣れてないんです。

ごめんなさいね。それで…どうしよっか…?」

 

私は正直に言って、正直に聞くことにした。

 

「え?そうなんですね。いやいや…なんかそういう方が安心するわぁ。」

 

少年はあどけない顔で笑った。

 

「年…聞いてもいいのかな?いくつ?」

「あ、17になったばっかりです。」

 

おいおいおいおい。

ここは18歳以上じゃないと入れないところですよ。

 

「え?だめじゃん!あははは!」

 

「え?そうなんすか?ヤバいっすね!あははは!」

 

だんだん和んできた。

 

「えーと…、マットはどうする?したい?」

「え?マット?マットってなんすか?」

 

え?

何にも予備知識なしで来たの?

 

「え?聞いてこなかったの?」

「はい。とにかくお世話になってこい!って言われて来たんで…」

 

親方…

あえて予備知識いれなかったなぁ。

 

なんとなくソープの流れを説明する。

少年は「へぇー!」とか「おおー!」とか「すげぇ…」とか言いながら興味深々で聞いていた。

 

「えー…どうしよう…でも、マットやってたら時間なくなってしまうやんなぁ…」

 

少年よ。

その悩んでる時間もおしいのですよ。

 

「あ、じゃあさ、全部を短く体験するっていうのはどう?やっぱりベッドでしたいでしょ?筆おろし。だから、潜望鏡もマットも短くやるっていうのはどう?」

 

未熟だとはいえ私はソープ嬢です。

提案くらいできますから。

 

「あ!それいいっすね!おねがいします!」

 

ぺこりと頭を下げ、少年はコップに入ってるコーラをゴクゴク飲み干した。

 

 

なんだか楽しくなってきたぞー。

50分でどこまでできるか。

そして初の筆おろし体験だ。

 

私はなんだかワクワクしてきていた。

 

 

つづく。

 

 

 

 続きはこちら↓

㊱ - 私のコト

はじめから読みたい方はこちら↓

はじめに。 - 私のコト