私のコト~私のソープ嬢時代の赤裸々自叙伝~

私の自叙伝です。雄琴ソープ嬢だった過去をできるだけ赤裸々に書いてます。

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「はい。シャトークイーンです。」 電話の向こうから富永さんの接客用の声が聞こえる。 なんだか安心して涙が出てくる。 「お疲れさまです。有里です。」 私は10日ぶりに私のことを「有里です」と言った。 当然のように。 「おー!有里!どうや?明日から…

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朝7時。 コバくんからのTELが鳴る。 私はソファーでトロトロとしたまま電話に出た。 「もしもし?」 「もしもし?ゆきえ?」 「うん。」 「大丈夫か?ごめん。寝てたやろ?どうしても心配で電話してもうた。ほんまごめん。」 私はコバくんのこういうところ…

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若干ふらふらする足取りとボーっとする頭をなんとかごまかしながら電車を乗り継ぎ、やっとの思いで比叡山坂本駅に辿り着いた。 コバくんには回らない頭を駆使しながらこんなメールを送っておいた。 残業大変やなぁ。 私の体調は…まぁまぁかなぁ。 コバくんに…

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フ… 目がうっすらと開き、ぼやけた視界に病室の天井が映る。 「あっははは」と遠くからおばさんたちの笑い声が聞こえる。 え…と… ここは…どこだっけ… だんだんはっきりとしてくる視界。 無機質な風景が私の記憶をよびさます。 あぁ…そうか… 白いシーツのかか…

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「じゃこのままいくでー。」 おばあさんは淡々とした様子でひんやりとした器具を私の膣内に入れてギリギリと動かす。 痛い… 鈍い痛みがじわじわと私を侵す。 ギリギリと器具を動かしては出し、そしてまた挿れる。 だんだんと鈍い痛みが強くなる。 ギリギリギ…

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コバくんが帰ってきてソファーに寝ている私を起こした。 「ゆきえ。大丈夫か?風邪か?」 「あぁ…おかえり…なんやわからんけど調子悪くてなぁ。寝てれば平気や。」 「ほんまか?お風呂でも入る?あったかくなったらよくなるかもしれん。」 コバくんが私の横…

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病院に行った次の日の水曜日。 私はコバくんに心配をかけないように一生懸命元気にふるまった。 コバくんは「だいじょうぶか?」と何度も聞いてきていたけど、私は「平気やでー。」と笑って答えていた。 木曜日、出勤してすぐ富永さんに来週の月曜日から10…

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トイレで紙コップにおしっこを採った私は、言われた通りにトイレ内の棚の上に紙コップを置き廊下で待った。 ただただ時間が過ぎる。 緊張もしない。 何の感情も湧かない。 さっきまで緊張していたはずなのに。 私はまた薄汚れた床の一点を見つめる。 気持ち…

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次の日の朝。 私は気持ち悪さをごまかしながらコバくんのお弁当を作り、コーヒーを淹れた。 「あれ?ゆきえ最近コーヒー飲まへんなぁ。」 コバくんが私に何気なく言う。 その言葉にドキッとする。 「あー…うん。なんかあんまり飲む気せぇへんくて。今はこっ…

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ピルを飲まずに過ごすこと1週間。 お客さんのコンドームが私の膣内で取れてしまって結果的に中出しされてから6日。 生理はまだきていない。 私は焦ることもなく、もしかしたら体調が悪いだけかもと思っていた。 頭の片隅には『妊娠』の二文字がちらついてい…

171

理奈さんとの旅行から帰ってきてからも私はピルを飲み続けた。 このまま来月まで飲み続けてしまおうと思っていた。 が、ピルが1ヵ月分とあと少ししか手元にないことに気付く。 もうすぐピルがなくなってしまう。 出勤前にいつも行っている婦人科の病院に寄っ…

170

「おもろかったなぁ。また行こうな。」 帰りの電車で理奈さんが私に笑いながら言う。 「うん。ほんまに楽しかったなぁ。また行こうな。」 電車に乗る前に買ったお菓子の袋を開けながら答える。 『また行こうな』が実現することはないんだろうなぁと思いなが…

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自分たちが乗り込んだ電車が逆方向に行く電車だと気づいた私たちは、急いで反対側側のホームに向かって。 プルルルルル… 発車のベルが鳴っている。 「もう出ちゃう!!はよぉ!」 理奈さんが荷物を抱えて私に言う。 「うわー!待って待って待ってー!」 私は…

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「有里ちゃーん!おはようー!」 次の日、私は比叡山坂本駅で理奈さんと待ち合わせをしていた。 今日から一泊の旅行だ。 「おはようー!うー、寒いねー。」 1月の滋賀県は寒い。 琵琶湖から吹く風が冷たくて、身を切られるような鋭い寒さだ。 「ほんまやな…

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1月半ばの月曜日。 出勤するとすぐにフロントに呼ばれた。 「なんだろう?」と思い、フロントに顔を出すと高須店長が「有里ちゃん!こっちこっち!」と手招きをして私を呼んだ。 「あー!こないだはありがとうございました。っていうか、すぐ帰っちゃうんや…

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次の日。 コバくんが私を起こさないようにそーっと起きてきたことに気付き、「おはよう…」と声をかけた。 「あ、おはよう。起こしちゃってごめんやで。寝てて。」 私が酔っぱらって4時ごろ帰ってきても彼は怒らない。 それどころかこんなことまで言うのだ。…

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「有里。南はええ奴やろ?」 若いボーイさんと理奈さんが帰って、私の隣の席に移動してきた富永さんがトロンとした目で私に聞いた。 「うん。おもろい人やな。優しそうやし。」 私は笑いながら本心を口にした。 南さんはほんとに優しそうだし、いやらしい感…

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みんなで大騒ぎをしながらトキに行った。 「有里ちゃんは私の隣やからなー!なぁ?有里ちゃん。」 理奈さんが上機嫌で私と腕を組んだ。 「えー!僕も隣になりたいよぉ~!」 50代半ばのおっさんが駄々をこねる。 今日の私は大人気だ。 悪い気はしない。 「…

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次の日。 高須店長は夕方ごろお店にやってきた。 「有里ちゃーん。ちょっとこっち来てくれる?」 高須さんはフロントに呼ばれた私をフロントの後ろの事務室に呼んだ。 そこにはパソコンが一台置いてあり、真っ黒の背景のページが開いてあった。 「これこれ。…

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「有里。なんや今日写真撮ることになったんやな。1時間後言うとったで。大丈夫なんか?」 個室から控室に戻ろうとしている時、廊下で富永さんが私を呼び止めた。 「あー…なんやそうみたいやねぇ。まぁええんちゃう?」 私はなんとなく他人事のような言い方…

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ミーティングで私が部屋持ちになったという発表があった後、杏理さんとあきらさんが突然店を辞めた。 私はその事実に結構なショックを受けた。 お店には理奈さんと私とななちゃんだけになってしまった。 富永さんが言うには杏理さんもあきらさんも指名がなか…

160

お正月気分がだいぶ落ち着いてきた1月8日。 今年最初のミーティングがあった。 私はまたナンバー2の賞金をもらい、そして部屋持ちになったことをみんなの前で発表された。 杏理さんとあきらさんは引きつった笑顔で拍手をし、ななちゃんは「すごいやないで…

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中島さんは私の股の間に自分の下半身をねじ込んだまま、自分の右手でおちんちんを支えて私の膣の入口に押し当てている。 まだ半勃ちにもなっていない、柔らかいおちんちんが入口に触れていることが不快でならなかった。 「ちょ…ちょっと!」 私は大きな声を…

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コンコン… 個室のドアが小さくノックされた。 「はーい」 返事をしてドアを開けると、上田さんが乾きものとお菓子を数種類お皿の上に乗せて持って来てくれていた。 「あ、ありがとう。無理言ってごめんやで。」 ドアから顔を出して小さな声で謝る私。 「いや…

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大晦日は22時の最後までお客さんに付きっぱなしで、思ったよりも忙しくて驚いた。 「ヤリ納めや。わはは!」というお客さんが数人いて心の中で苦笑いをした。 大晦日の夜と元旦はなんとなくそれっぽい料理を作り、コバくんとお酒を飲んだ。 コバくんはしば…

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コバくんから衝撃的な話しを聞いてショックを受けた私は、その次の日から3日間ほど寝込んだ。 熱が出て吐き気が止まらなかった。 仕事も2日間休んでしまった。 コバくんはただの風邪だと思っていた。 「ゆきえ…大丈夫か?俺、仕事休もうか?」 そんなこと…

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26日当日は予定通りフェスティバルゲートに行き、スパワールドでお風呂に入った。 周りは大阪の新世界という魅力的な街で、私が好きそうな飲み屋さんがたくさんある場所だった。 「あー…大阪に住みたいなぁ…もし生きてたら大阪に住んでみたいなぁ。」 そん…

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「なぁ、ゆきえ。クリスマスどないする?」 もう寝る時間。 お布団に入りながら子どもみたいな笑顔で聞いてくるコバくん。 「えぇ?!クリスマス…かぁ。そうだねぇ。」 私もお布団に入りながら答える。 その顔があまりにも無邪気で戸惑ってしまう。 もう12…

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「…結婚してくれ。」 松ちゃんは小さな箱を私の前に突き出し、そっぽを向いたままそう呟いた。 …は…? 結婚? え…と… 結婚ってなんだっけ? こういうもんだっけ? 結婚って… え? なんだっけ? 「…結婚…ってこうやってするもんだっけ?」 思わず心の声が出て…

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それからほんの数日後。 松ちゃんはすぐにお店にやってきた。 「ほんまに来たで。」 個室のベッドに腰かけながら、相変わらずそっぽを向いて吐き捨てる様にそう言った。 「ほんまにすぐ来たなぁ!びっくりしたわ!」 私は笑いながら明るく突っ込んだ。 「そ…